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色彩繚乱
14
「この城の構造はどうにかならんのか。羽を持つ妖精ならば、ひとっ飛びでも持たぬ者には不便この上ない。」

サイが愚痴るのも仕様がない。妖精城は城全体が螺旋状になっていて中心は吹き抜けになっている。太陽光を十分に取り込む為にそういう造りにしてるんだろうけど向こう側に行くのに回って行かないと行けないから時間も掛かるし面倒臭い。

「アキ、彩王〜!」

ソウが俺達に向かって走って来た。その後ろにはスーツに身を包んだコウが優雅に歩いて来る。ダーググリーンのスーツが赤髪を際立たせサイに負けず劣らず様になっていた。ソウは制服姿と違い淡いブルーのスーツが髪色にマッチしててイケてる。でも俺だって良い線いってると思う。サイは意地悪だけど2人なら誉めてくれるはず…

「わぁ、アキのスーツ姿、初めて見たけど可愛いね。」

え?可愛い?格好良いの間違いだろ?

「ソウ、もっと良く見てよ。ほらっ…」

クルッと回り腰に手を当て胸を張った。

「どう?」

「可愛い、可愛い〜っ!ね、コウ。」

「ええ、特にポニーテールがそそりますね。襟足も色っぽくてボディラインも魅力的ですよ。」

うぇっ!?逆効果!?

「アキはドレスが似合うと思うなぁ〜。ヒラヒラの可愛いやつ。」

「ヒラヒラよりシックな方が良いと思いますよ。スリットが入ると尚良いですねぇ。」

誉めてくれると思ってた2人がサイでも口にしないことを…

「…ショック。」

うなだれると隣でくぐもった笑い声が聞こえた。サイが大笑いしないのは俺に気を使ってくれてるのかも。

「アキ、どうしたんですか?」

不思議そうな顔するけど俺、凹んでるんだよ?何で解んないかな?

「アキ、会食場はこっちだよ。」

俺の腕に腕を絡め、にっこり笑う。ソウもコウも鈍すぎ…あれ?ハクヤが居ない。

「なぁ、ハクヤは?」

「部屋で寝てるよ。」

「1人で?」

「ううん、妖精達が見てる。何かあれば知らせてくれる。」

「心配しなくてもハクヤを1人にさせません。」

ソウもコウもハクヤを大事に思ってくれてる。勿論、サイも。

「アキ、早く行こうよ。」

ソウに引っ張られるまま会食場に行くと妖精達が音楽を奏で花の精霊が花びらを降らせ俺達を歓迎してくれた。妖精王は神々しい光のオーラを纏い清らかで容貌は美しく立ち振る舞いは優雅。俺の記憶では温厚な親バカ。だけど今回の不祥事、闇に対しては辛辣で延々と説教を食らい俺達は返す言葉もなく黙然と対座。目の前の美味しそうな料理や歓迎ムードが台無しになるくらい手厳しかった。

「王よ、その辺で…酒をお持ちしますので乾杯しましょう。」

クシャナダが手を上げると妖精達が酒を注いだ。
ほっ、助かった。止めてくれなかったら夜を明かしたかも。

それからは談笑しながら会食。といっても喋っていたのはコウとソウでサイは終始、無言で酒を呑んでいた。耳に痛いこと言われたら気分も悪くなるよな。非があるのは俺達でも。

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あきゅろす。
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