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色彩繚乱

部屋を出て直ぐにサイのいる所に連れて行ってもらうはずだったのに廊下で、たむろしている妖精達に捕まってしまった。

「お前さんが黒曜石と同化した人間界の住人じゃな。いやはや長生きはしてみるもんじゃ。」

俺が珍しいからってジロジロ見ないでくんないかなぁ。珍獣じゃないんだし。

「はは…」

愛想笑いで誤魔化しつつ後退りするとおばさん妖精が俺の髪や頬を不躾に触った。

「スベスベお肌に真っ黒な瞳と艶やかな髪…惚れ惚れしますねぇ。」

おばさんは国が変わっても一緒だな。馴れ馴れしいというか図々しいというか…あ〜っ、もぅ、鬱陶しい!

「ふほっほ、龍国の民は漸く眠りから解放されますなぁ。平穏になればまた行き来出来ますなぁ。ふほっほっ。」

恰幅の良いおじさん妖精は出っ張った腹をさすり肉厚な頬を緩めた。龍国を元に戻す。その前にサイとハクを…

「あ、あの…すいません、俺…」

「ご三老、申し訳ございませんがそろそろ解放してもらえませんか?急いでるので。」

俺の心情を察してクシャナダが間に入ってくれた。

「あら、ごめんなさいねぇ。引き止めちゃって。」

「おお、そうじゃったか。すまんのぅ。」
「今度は龍国でお会いしたいですなぁ。」

「はは…」

空笑いで取り繕うとクシャナダは妖精達に会釈して長い廊下を歩き始めた。透かさず俺もついて行った。これでやっとサイの所に行ける…と思った矢先、前方に突如としてフランが現れた。

「あ〜!居た、居た〜!こくよーせきぃ〜!!」

走ってくんなよ、てか何で、お前が居るんだよ!?

「フラン、帰って来たのですか?」

「クシャたん、ちよっと黒曜石、借りて良いですかぁ?龍国に関する大事な話があるんですぅ。」

まさか、コイツ、また…

カッとなってフランの肩を突き飛ばした。

「えっ?」

驚いた顔すんなよな。俺、怒ってるんだから。

「お前と話すことなんかない。それとも俺達だけじゃ飽き足らず今度は龍国を罠に嵌めるつもりかよ!?アイスに無残な仕打ちをしておいて…」

「こ、今回は違います。ボスから…白龍石から頼まれたんです。」

ハクから?

「どういうことか詳しく説明してもらおうか?」

睨み付けるとフランはビクビクしながら俯き気味に話し出した。

「は、はい…実は…」

話しが進につれ次第にフランの表情が暗くなり嫌な予感に心臓がバクバクして聞き終わるころにはボロボロ泣いていた。

「う、嘘だ…ハクが…」

崩れる落ちるように床に膝を付いた。

「嘘だったら…どんなに…良かったか…私だって…嘘だと…思いたかった…」

涙声が真実だと語ってる。否定したいのにコイツが泣くから否定できない。

「ぁあぁ…あっ…」

悲しみが濁流になって押し寄せてくる。漸く会えたのに…俺を置いて1人で逝くなんて…覚悟してって俺、まだ覚悟なんか出来てないのに…黒曜石がハクに力を貸してれば…


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あきゅろす。
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