色彩繚乱
1アキ視点
(アキ視点)
意識が戻って最初に視界に飛び込んできたのはお伽話に出てくるような妖精だった。
あれ…何で妖精がいるんだ?俺、寝ぼけてる?それとも夢?
身体を起こして目を擦ると鼻先に妖精が止まった
「うわっ!!」
ゆ、夢じゃない!!
たじろぐ俺に妖精はクスクス笑いながら俺の周りをクルクル回った。
あっ…良い匂い…
妖精達から出ているのか心が休まるような心地良い花の香りがした。
『起きた、起きた〜』
『遊んで、遊んで〜♯』
『私も〜♪』
驚きと戸惑いで茫然としている俺を見て、からかうように髪を摘んだり肩に止まったり膝の上に乗ったりヤりたい放題。でも両手で口元を隠す仕草は愛らしく喋り方は小鳥の囀りみたいで緑や黄色のふわふわコスチュームや花飾りは可愛い。
『ダメだよ〜、王様にお知らせしなきゃ〜』
王様…王…彩王…はっ!!
気を失う前のことを思い出して部屋を見回したけどサイは居なかった。
「ねぇ、君達、龍国の王とハク…白龍石を知らない?」
妖精達に尋ねると一斉に首を横に振った。
「そっか…知らないのか。」
妖精がいるってことは妖精の国だろう。龍国は今、妖精王の管理下にあるし。
「どうしよう…」
探しに行こうにも2人が何処にいるか解らない。こんな時、携帯があれば…って持ってても園外だよな。
「…弱ったなぁ。」
妖精達は無邪気で警戒心は皆無。広々としたスイートルームなみに豪奢な部屋。歓迎されてると思って良いのかな?
とりあえず外に出て探索してみるか。
と思ったその時、扉をノックする音にビクッとした。
「だ、誰?」
「失礼します。」
扉を開けて入ってきたのは気品溢れる妖精だった。背丈は俺と同じくらい。胸まである銀髪から飛び出た耳に嵌め込まれたピアス。怖いくらい整った顔立ち。俺を見詰める瞳はエメラルドグリーン。これだけ綺麗だと作り物みたいで不気味っつうか…
「お初にお目にかかります。私は妖精王の側近、クシャナダと申します。」
優雅にお辞儀するクシャナダに俺も自己紹介して頭を下げた。
「アナタのことは王に伺っております。ご案内いたしますのでご同行、お願いします。」
「あ、あの、サイ…彩王とハク…」
「ご無事ですよ。ご案内いたしますのでご同行、お願いします。」
「連れて行ってくれるの ?」
「はい。勿論。」
にっこり笑うクシャナダは笑うと不気味さがなくなり印象も変わった。だから俺も「お願いします」と笑った。
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