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色彩繚乱
12
陽が沈み部屋が薄暗くなった夕刻、コウとソウが迎えに来た。

「ソウ…その姿は…」

「僕の変身、どう?」

背格好や目鼻立ちは変わらないけど黒髪は短く瞳も黒眼。サイみたいに高圧的でもなくコウみたいに優雅でもない普通の高校生。でも正体は異世界の住人。こういうのを目の当たりにすると嫌でも現実を突き付けられる。

「亜樹?」

「あ、あぁ。完璧だよ。」

「でしょ。僕の特技の1つなんだ。」

得意満面のソウに俺は苦笑いで答えた。

「亜樹、用意は良いですね?」

「うん。」

ボストンバックを持ち玄関に行こうとしたらコウが止めた。

「その必要はありません。クローゼットと寮室を繋げました。」

「へ?」

繋げたってまさか…

悪い予感しかしない俺にコウはクローゼットを開いた。

「お解りかと思いますがこの部屋は彩王の名義になり管理費や家賃は彩王が負担します。なので…」

「もぅ、良い。解った。俺が文句を言えば譲歩の結果がこれだとか言うんだろ?」

「流石ですね。恐れ入りました。」

「茶化すなよ。」

顔を顰めるとコウは肩を竦めた。ったく狡猾なやり口使いやがって。

クローゼットに入り壁に作られたドアノブを引いたら其処は寮の部屋だった。

「わーい!此処で亜樹と生活するんだ。嬉しいなぁ〜!」

はしゃぐソウを後目に部屋を見回した。12畳ほどの広さに二段ベッド。壁に沿って並んだ2つの机。まぁ、こんなもんだろう。

「亜樹、人前で身体を晒すのは頂けないのでマンションの浴室を利用してくださいね。無論、トイレもです。」

ああ、成る程ね。サイが反対した理由はこれか。

「ただ単に俺を目の届く範囲におきたかっただけじゃないんだ。」

「お見逸れしました。亜樹を鈍いと言ったことお詫びします。」

「鈍いかどうかは別にして独占欲の塊みたいな奴だからそれくらい察しがつくよ。」

げんなりする俺にコウはブルーサファイアがはめ込まれたネックレスを差し出した。

「俺に?何で?」

「ソウの力を節約する為、就寝時や休みの日は其処がソウの居場所です。」

「ネックレスが?」

問い掛けるとコウがソウにアイコンタクトした。

「うん。解ってる。亜樹、僕は実体化する都度、力を消耗するんだ。だから不必要な時は石の中にいる。でも心配しないで。テレパシーで会話出来るし亜樹の身は僕が守る。そのかわりネックレスは片時も離さないで身に付けていてね。」

「男がネックレスとか変じゃない?それに危険なんてそうそうないだろ?」

「いいえ。この学園は妖しい気配がするんです。なので私は亜樹を学園に連れて行くのは反対しました。ですが彩王は亜樹を1人にする方が心配だと仰って。九重の仕事は放棄出来ませんし。」

弱り顔のコウにソウが胸に手を当て「大丈夫!二頭蒼龍の僕がいるんだ!亜樹のことは僕に任せて!この身にかえても亜樹を護る!それが僕の使命だから!」とドヤ顔で言い切った。

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