色彩繚乱
10
「なっ、何をする気だ!?」
思いがけない行動は俺を動揺させた。
「何ってこの状況ですることといったら1つでしょ?」
俺を抱くつもりか!?冗談じゃない!!
「き、恭弥、止めろ!」
肩を掴み押しのけようとしたがビクともしない。
「今の彩龍に僕が止められると思う?」
妖しい光を放つ金眼に捉えられ身体が硬直した。
「くっ…」
これは妖術!?
「可愛さ余って憎さ百倍ってね。」
徐に首に手を掛け締め上げた。
「う゛っ!!」
本気で俺を…
「あ゛ぁ…」
手首を掴んでもがいたが気管を絞められ息が出来ない。このままむざむざ絞め殺されるのか…と半ば諦め掛けた時、絞める力が緩んだ。と思いきや今度は唇で口を塞がれ酸欠状態になり朦朧とした。絡まる舌と甘い唾液は脳を麻痺させ気を失いそうになった。
マ、マズい…このままでは…
精神力で意識を保とうとしたが呼吸困難と唾液に含まれる成分に神経が侵され努力の甲斐、虚しく意識は薄れていった。
「はぁ…んぁ…あっ、あぁ…」
荒い吐息。悩ましい喘ぎ声。卑猥な水音。
「さ、彩龍の…おっきぃ…」
はっ!!
目を開けると俺の上に恭弥が乗っていた。その光景は俺を驚愕させた。
「…気が…付いた?」
上気した顔で尋ねる恭弥に息を呑んだ。
「あのね…気絶してても、僕の中に出してくれたんだよ?」
腹に手を当てうっとりする。
「そ、そんな…馬鹿な…」
「嘘じゃないよ?ほら…」
腰を上げるとドロリと白濁の粘液が零れ落ちた。気を失ってる最中に射精するなんざ有り得ない。
「お、俺に…何をした?」
「ちよっとね…此処に魔力を入れたんだ。そうしたら何度、果てても固いまま…」
鬼頭の割れ目を指でさすると再び挿入した。
「ぅあっ!!」
「あはっ!!気持ち…ぃいっ…」
うねる内部が俺を締め付け快感を与える。アキ以外に感じる自分が情けなく唇を噛み締めた。
「ダメだよ?抗っちゃあ…もっと僕に頂戴。」
腰をくねらせ射精を促す肉癖は俺を翻弄し突き上げたい衝動に駆られる。
「うぅっ…」
「我慢しないで…僕に溺れて?」
甘美な誘惑に理性が砕けそうになったが意識を取り戻した今、アキを裏切るわけにはいかない。
「どけっ!!」
渾身の力を込めて恭弥を突き飛ばした。
「はぁ、はぁ…」
「さ、彩龍…」
責めるような眼差しに居たたまれずベットから下りると溝口が椅子に座って足を組み興味津々な目をして俺を見詰めた。
「いやはや、お見逸れしました。あの状態で欲望に打ち克つなんて流石は龍王と言ったところでしょうか。」
揶揄する溝口に怒り心頭に発した。俺を弄び辱め行為を傍観。未だ嘗てこれほどの屈辱を受けたことはない。
「…許さん。貴様だけは断じて許さん。」
腸が煮えくり返り溝口の胸倉を掴んだ瞬間、衝撃波をくらい壁に激突した。
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