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色彩繚乱

「…やっぱりダメでしたか。」

「どういうことだ?」

「キングに限っては五分五分だと思っていました。この秘薬は全てを受け入れる覚悟がないと効果を発揮できないんです。端っから否定的な気持ちでは深層に沈んだ真相は暴き出せません。」

俺に非があるような言い方をされムカついた。覚悟はあった。否定的でもない。寧ろ失った記憶があるならば取り戻したいと思っていた。

「秘薬だか何だか知らんが俺のせいにするな。ハイネスの配合が拙いか若しくは喪失した記憶はなかったということだ。よって闇龍石は存在しない。」

自信を持って言い放つと
口を尖らせた。

「ドヤ顔で何、言ってんだか。これだから何時まで経っても記憶が戻らないんだよ。ボスが可哀想だろ。いい加減、気付けよ。ボケ。」

「ボ、ボケだと!?」

「やべっ…つい心の声が…すいませーん。」

自分の頭を小突き舌を出した。女子じゃあるまいし、ふざけた謝り方しやがって、いい加減にするのは貴様の方だ。

「…この場で滅してやる。」

今まで我慢してきた怒りが噴出した。

「ふぇっ?」

キョトンとするフランに手を向けたその時、ソウが俺の前に出た。

「彩王!ダメだ!」

「喧しい。其処をどけ。」

「どかない。コウが居ない今、僕が彩王のストッパーだ。」

何時になく真剣な表情をするソウに目を見張った。

「フランの悪態は今に始まったことじゃないだろ。一々、腹を立ててたら
キリがないし冷静になってよ。」

上から目線な物言いにカッとなった。

「お前まで生意気な口を…良いだろう。お前ごと吹き飛ばしてやる。」

「だったら僕は全力で防御する。」

両手を広げると正面から見据えた。

「防御力が高いお前でも俺の雷撃波は防げまい…っ!?」

突如、前方に魔法陣が出現した。

「おい、フラン!何をしている!?」

「私のことはお構いなくぅ〜。」

ひらひら手を振りながら身体の半分が魔法陣に吸い込まれている。

「逃げるのか!?」

アキをベッドに寝かせるとソウを押し退けた。だがフランは既に魔法陣の中でこちらからは手も足も出せず声だけが室内に響いた。

「私の用は済みましたので…あ、そうそう、言い忘れてましたがゲートは閉じさせて頂きました。悪しからず。あと白龍石の半身は異空間に封印してますので必要な時期が来たらまた来ますぅ。それまでさようなら〜。」

言い終わると魔法陣は消失した。

「くそっ!!」

腹立たしさに壁を殴ったが怒りはおさまらず何度も拳を打ち付けた。そうして漸く頭が冷めた頃、ソウの思念が俺に流れ込んできた。

『僕を阻んだ公園の結界はゲートを閉じる為にフランが張ったものなのか?だとしたらコウに邪魔されないよう恭弥と戦わせた?でも白龍石の半身って意味が解らない。あ〜、謎だらけで頭がこんがらがってきた。コウが居たら意見を聞けるのに…』

フランの言葉を鵜呑みにするとは。ったく呆れた奴だ。

「惑わされるな。」

ソウの頭を軽く叩いた。

「彩王…」

「アイツは俺達を混乱させたいだけだ。深く考えるな。馬鹿を見るぞ。」

「でも…」

気になって仕様がないという顔をする。

「お前はアキを守ることに一意専心しろ。遅かれ早かれ溝口達が此処に現れるだろう。」

溝口の名を出すとソウの顔色が変わった。

「そ、そうだね。うん、
アキを守らなきゃ…僕、戸締まりしてくる。」

足早に部屋を出て行った。鍵を掛けたところで意味をなさないだろう。

「結界が張れれば…」


もしやコウを眼窩に収めれば俺でも結界が張れるのでは?

義眼を外し紅龍石を嵌めコウが唱えていた呪文を詠唱すると部屋全体を光が覆った。

「ふぅ…何とか上手くいったようだな。」

多少、龍力を使ったがこのくらいなら一眠りすれば回復するだろう。眠るアキを胸に抱き寄せ瞼を閉じた。

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あきゅろす。
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