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色彩繚乱

「では、先ず茶を…」

「いっただきますぅ〜。」

勧める前にカップを取り一口飲んで顔を顰めた。

「う゛ぇっ…このクソ不味いお茶は何ですか?」

俺も最初はそう思った。取引先の社長から貰った土産を口にした時は。しかし部下に強精作用があると言われ試しに飲み始めた。すると心なしか力が湧いてきて今では珈琲より飲む率が高い。

「6年根の高麗人参茶だ。人間の身体に良い成分が入った優れた茶だ。」

「人体を気遣うなんてキングはジジくさいですねぇ。」

ジジくさいだけでも腹が立つのに鼻で笑われ憤怒した。クソガキが調子に乗りやがって…

『さ、彩王、怒っちゃダメだよ。フランは妖精王の愛し子。コウが一生懸命、開いたゲートが無駄になるし協力して貰えなくなるよ。』

思念で諭すソウに俺は怒りを堪えた。コウが居れば同じことを言うだろう。

「ま、まぁ、これでも食べて口直ししなよ?」

ソウが皿を差し出すと1つ取って口に入れた。

「かたっ!!まずっ!!何ですか、これは!?」

「乾パンだよ。買い物に行く間がなかったから…」

「もぅ、結構です。」

高麗人参茶と乾パンをテーブルの隅に追いやると腰を上げた。

「何処に行く?」

「私はこれで失礼しますぅ。」

好意を無下にされても侮辱されても我慢した。だが話もせずに帰ることは許さない。

「千年樹の落とし子よ。冥界に飛ばされたくなくば座れ。」

「め、冥界!?やだなぁ。冗談がキツいですよぉ?」

焦り顔で声を上擦らせた。流石にヤバいと思ったのだろう。

「生憎、冗談は嫌いだ。従わないなら容赦はしない。」

目と言葉で脅すと顔面を引きつらせつつも座りなおした。

「俺はハイネスほど甘くないぞ。お前が稀有な存在でもだ。」

開花する確率は低いとされる千年樹。それは愛情と心血をそそがなければ咲かないからだ。ハイネスは花を咲かせるまで根気強く世話をした。俺なら途中で諦めるか放置するだろう。そうして咲いた花からフランが誕生した。故に愛おしくて仕方がない。

「…は、はい。」

クソ生意気なフランが萎縮するのを見て多少、気が済んだ。少々、大人気ないが。

「…えっと、何を話しましょうか?」

「お前の知ってること全部だ。」

「ええ〜!?全部ですかぁ〜?長くなりますよ?」

「要領よく喋れば、短縮されるだろう?もし、適当なことを言ってみろ、その首、へし折ってやる。」

冷笑するとフランの顔が青くなった。横に居るソウも。だが舐められっぱなしは癪に障る。我慢にも限界はある。

「わ、解りました。キングが転生の間から出て来ないと龍国の使者が妖精国に来たんです。異変に気付いたダットは霊力でキング達の居所を突き止めました。それで私が人間界に来たんです。ダットは猛反対しましたけど。」

ハイネスの狼狽ぶりが手に取るように解った。目の中に入れても痛くないフランを異世界にやるはずがない。

「お前のことだ。駄々をこねたのだろう。」

「一生、口を聞かないって言ったら渋々、許してくれました。でも着いた早々に運悪く師匠に捕まって…あ、師匠はベル一族のトップです。私に人間界のことや魔術を教えてくれて…」

「其処はどうでも良い。俺達の居所は知っていたはずだ。何故、直ぐに会いに来なかった?」

「理由を言ったら怒ると思いますので省かせて…」

「言え。包み隠さず。」

「言いますが、約束してください。怒らないって。」

念を押すフランに苛立ったが聞き入れないと情報を得られない。

「…解った。」

承諾すると固い表情が和らいだ。

「実は魔術を覚えるのが楽しくなりアカデミーに入学しました。パソコンを使うようになってからボスとチャットで話しました。その内、科学を勉強したくなって留学しました。でも師匠が逝去してアカデミーに戻り魔術と科学の融合に勤しんでましたがボスの要望でまたこっちに来ました。そんなこんなで、かなーり年月が経ってしまいまして。」

フランの話は俺を唖然とさせた。つまり己の欲を優先し俺達のことは後回したのか。

「はっ、ははっ…」

怒りを通り越して笑ってしまった。

「面白いですか?」

不思議そうな顔をして小首を傾げた。こ、このクソガキがっ!!面白いわけあるかっ!!

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あきゅろす。
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