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色彩繚乱


『…アイス…』

遠くで声が聞こえた。

『…僕のアイス…』

次第に近付く声に耳を傾けた。誰だ?

『…痛かったよね…ごめんね。』

悲しみに暮れた声は俺の心を揺さぶる。一体、誰なんだ?

『…必ず、元に戻すから…待ってて…』

声の主はアイスとやらに無理をさせたらしい。俺には関係ないが。

『えっ!?由仁が!?』

今度は驚きの声を発した。

『居なくなったって…連絡は?由仁が行きそうな場所は?2人共、由仁を探して。お願い。』

焦りと不安が入り混じり俺に流れ込んで来た。俺の意識に干渉しているのか!?

『アイスも由仁も…予測不能の0.01%…甘くみていた僕の失態だ…』

流れ込んきた感情が後悔の念を伴い濁流になって俺を覆った。

止めろーっ!!俺の中に入ってくるな!!

叫んだ瞬間、目が覚めた。

「夢…か?」

起き上がると目眩がして目元を押さえた。映像はなかったが音声はまだ耳に残っている。あれは…

「キング〜、大丈夫ですか?随分、うなされてましたよ?」

はっ!?

「誰だ!?」

「お久しぶりですぅ〜。」

居るはずのない奴が右手を胸に当て礼をする。俺は寝ぼけているのか?

「あれれ〜?私をお忘れですかぁ〜?」

間延びした口調。翠眼、翠髪。目の下にアスタリスクのタトゥー。黒いコートにアスタリスクが前面に大きくプリントされたコート。黒のストレートパンツにブーツ。小馬鹿にしたような目つきと笑い方。俺を不愉快にさせる奴を忘れるものか。

「フラン。何時、この世界に来た?」

「覚えてましたか。え〜っとキング達が堕ちた後、暫く経って…っと立ち話もなんですからお茶しながらゆっくり話しませんか?」

コイツと茶なんざしたくないが聞きたいことは山ほどある。

「…解った。」

ソウに意識を向け『茶と菓子を持って来い』と命令した。

『お茶はあるけどお菓子は非常食しかないよ。』

『構わん。何でも良い。早く用意しろ。』

『はーい。』

「フラン、暫し待…っ!?。」

アキに触れようとするフランを目で威圧した。

「ワオ!!こわっ!!」

「気安く触るな。」

「はい、はい。悪うございました。」

両手を上げ降参のポーズをしたが小声でボヤいた。

「けっ、触っても減るもんじゃなし。キング改めチンケだな。」

「なっ!?」

この俺をチンケだと!?

「貴様、喧嘩を売りに来たのか?」

睨み据えるとフランは首を横に振った。

「いええ、滅相もない。私ごときキングの相手にもなりません。あ、私、此処に座って大人しく待ってます。」

そそくさとソファーに腰を下ろし畏まった。

くそっ。ハイネスの奴、むやみやたらに可愛がるから礼節を知らぬガキに育ってしまったではないか。

「彩王、持って来た…うわっ!?」

フランの姿にソウがトレーを落としそうになった。

「おや、クィーンじゃないんですね。プリンス、お久しぶりです。」

「なっ、何でお前が居るんだよ!?」

「露骨に嫌な顔しないでくださいよ。傷付くじゃないですか。」

傷付く?笑わせるな。そんな玉じゃないだろうが。ニヤニヤしやがって。

「ソウ、話がある。座れ。」

トレーをテーブルに置くとフランと距離を取って腰掛けた。


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あきゅろす。
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