[携帯モード] [URL送信]

色彩繚乱
11
晩餐会はサイの挨拶で始まり乾杯した後、酒と料理を肴に龍人達は談笑。チャイナドレスを着た貴婦人や冠服の男性は人間と何等、変わりなくその中でサイが一番、カッコ良かった。冠に紫の冠服が黒髪に似合ってて、見惚れてしまった。

「龍王さま。今宵の宴に踊り子を手配、致しました。露出度高めの綺麗どころを集めましたので、お気に召した者がおりましたら仰って下さい。」

グラスに酒をつぎながら恰幅の良い男がサイに諂う。

「左大臣、お勧めとは楽しみだな。」

口で言うほど楽しみにしていないのは火を見るより明らかで冷ややかな眼差しと表情に左大臣は眉を顰めつつお辞儀した。

「…では、後ほど。」

それを横目で見ていたコウがまた溜め息を吐いた。サイがあの調子だから気苦労が絶えないわな。

「うわっ〜!でっかい魚〜!んまぃ〜!」

ソウはご機嫌でバクバク料理を片っ端から頬張りコウは大臣や官僚達と談話に勤しみサイは注がれる酒をひたすら飲んでいた。盛り上がる宴の最中、左大臣がマイクを持った。

「こほんっ。えーっ、皆様方、今宵の宴に花を添える踊り子達です。華麗な舞いと魅惑の踊りをぜひ、ご覧下さい。」

会場内が暗くなりステージに照明が照らされ数人の女性が腰をクネクネ振りながら踊る。体を隠す布はごくわずか。エロい衣装に貴婦人達は直視できず扇子で顔を隠した。
喜んでいるのは一部で教養と品格のある者は難色を示しソウは赤面。サイとコウは露骨に嫌な顔をした。

一体、何を考えてるんだよ?悪趣味にも程がある。左大臣のせいで晩餐会が台無しだ。サイが嫌うのも解る。

「コウ。目障りだ。止めさせろ。」

「それはできません。いやしくも左大臣。彼の面子を潰すことになります。此処は目を瞑ってください。」

「ちっ。」

舌打ちするサイにコウは
こめかみを押さえ深い溜め息を吐いた。コウも止めさせたいだろうけど立場上、出来ないから心労が絶えないよな。

破廉恥な踊りがやっと終わり次に出て来たのは両手に剣を持った麗人だった。優雅な身のこなしに切れのある振り。顔の近くで持ち手を瞬時に替える様は圧巻で宴席からどよめきが起こった。鋭い切っ先を頬や身体をミリ単位でかわす。女性とは思えないほど格好良かった。

剣舞は30分ほどで終わり拍手喝采を受けながら彼女は舞台袖に歩いて行った。さっきとは比べものにならないほど綺麗で素晴らしかった。なのにその後は下品な踊りが続き宴会場は白けたムードが漂った。

[*前へ][次へ#]

11/12ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!