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色彩繚乱
10
「彩王、今夜はご馳走、食べれるね〜♪」

廊下を上機嫌でスキップするソウは明るく表情も豊かで歳も今と変わらない。

「陽気なお前が羨ましい。」

呆れ顔に笑みを乗せるサイに「ご馳走と余興が一度に楽しめるもん。」と無邪気な笑顔で答えた。違和感があるのはサイだけだ。この先にサイを変えた何かが…

「お前とコウを足して2で割ったら、完全無欠な王が誕生しそうだな。」

「あははっ〜。それ、面白いかも〜。」

笑って受け流すソウに俺はサイの言う通り2人の長所を合わせたら完璧だと思った。でも俺はしっかり者のコウとお調子者のソウが好きだ。

「ハクの処に行くの?」

「ああ。宴があるからな。」

廊下の一番奥の突き当たりで足を止め壁のレリーフに手を当てた。すると壁が上に上がり下へと続く階段が見えた。サイじゃあないと開かない仕組なのかな?

壁に付けられた電灯がチカチカ点滅し薄暗い中階段を下りて行く。

こんな場所にハクがいるのか?

「ハク〜!」

静寂を破るようにソウが足音を立てて走り出した。

「こら、静かにしろ。」

「だって、ハクに会うの久しぶりなんだもん!」

ソウのあとにゆっくり進んで行くと青白く光る淡泊石が円状に並べられた広間に着いた。

「ハク〜!」

淡泊石の中心に佇む青年は白いチャイナ服に腰より長い白髪、透き通るような肌と白眼。唇も色素が薄く肌の色と近い。顔立ちはサイに似ているけど纏うオーラは清らかで見る者の心を穏やかにする。これが本来のハクなんだ。

「今夜は晩餐会だよ。出席出来る?」

「ソウ、何度言えば解るんだ?腹黒い輩がたむろする場にハクを連れていけるワケないだろうが。」

「解ってるけどハク、いつも1人だし可哀想なんだもん。」

悄げるソウにハクは微笑みかけた。

「ありがと。ソウの見たモノ、僕にも見える。だから平気。」

「解った。あちこち歩き回っていーっぱい見せてあげる。」

笑ってハクに抱き付いた。

「ところで浄化の方はどうだ?」

サイの問い掛けにハクは
ソウから離れるとボウリングの大きさくらいの球淡泊石を1つ持ち上げ胸に抱き締めた。すると濁っていた部分が消えた。

「幾度となく転生したが今回は強欲な連中が多い。お前には負担を掛けてばかりだ。すまない。」

「彩王、悪くない。浄化は僕の役目。」

「辛い時があれば言ってくれ。俺の力をお前にやる。」

「まだ、大丈夫。」

微笑むハクの頬を撫でながらサイも微笑した。淡泊石に集まった澱みをたった1人で浄化するハク。壁と床、一面書かれた結界の文字。窓、1つない部屋。外部に漏れないよう結界を張り巡らしている。コウやソウとは全く異なる存在。課せられた使命は重い。だけど龍国が平和なのはハクが役目を怠ってないからだ。サイは国を治めコウは治安維持に撤しソウは笑顔を絶やさず3人を癒やす。各々が責務を負っている。肉体が衰えれば転生を繰り返し龍国の為に尽力を尽くす。そして俺は彼らの根源であり龍国そのものなんだ。

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