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色彩繚乱

「宇佐木亜樹…いや、黒曜石。お前は闇さまの下僕になってもらう。」

「下僕…だと?」

コウの顔付きが怒りで歪み赤い瞳が燃えるような深紅の瞳に変わった。

「下郎の分際でふざけたことを抜かすな!」

「ふっ…僕に勝てると思ってるの?」

「ほざけ!!」

紅蓮の炎を恭弥に向かって放ったが恭弥は翼を羽ばたかせ風力で炎を打ち消した。

「おのれ…小癪な真似を…許さん…許さんぞ!」

憤怒に震えるコウの身体がメキメキ音を立て大きくなりあっという間に服を引き破った。そして背中から蝙蝠のような羽が生え身体は固い鱗に覆われ神話に出てくる龍に変貌した。驚愕の場面でも龍人ってキレるとドラゴンになるんだ…と冷静な自分に驚嘆しつつ猛々しい姿に唖然としているとコウは空中の恭弥に向かって行った。

「す、すげぇ…」

コウが口から炎を吐くと恭弥は素早く回避して羽根で攻撃する。それをコウは尻尾で薙ぎ払う。堕天使とドラゴンの戦いはファンタジー映画さながらで興奮してしまった。

「コウ、頑張れーっ!!」

地上から声援を送っていると肩先をつつかれ横を見ると顔面蒼白の雛形がいた。

「お、おまっ、何で!?」

驚きの声を上げる俺に雛形は声を震わせた。

「う、宇佐木…これって現実なのか?」

普通は夢だと思うよな。

「残念だけど現実だよ。」

信じられないだろうけど。

「映画の撮影とかじゃないよな?」

こんなリアルな映像が撮れたらCGは必要ないっつーの。

「ロケならスタッフや監督がいるだろ。」

園内に居た人達は人っ子一人いつの間にか居なくなっていて恭弥の闇力に恐れを感じたんだと思う。俺もそうだったから…って雛形は何も感じなかったのか?

「雛形、どうして此処にいるんだ?」

「俺はアイスと待ち合わせしてたんだよ。寝坊して遅れちまったけど。まさか、こんなことになるなんて…ゾワッとした時、逃げれば良かった。でも約束を破ったらアイツに怒られるし携帯は繋がらないし…もぅ、何がなんだか解んねぇよ。」

口癖の〜ッスを忘れるくらい動揺している。無理もないよな。俺だって何も知らなかったら腰を抜かしてる。

「雛形、落ち着け。」

「宇佐木は何でそんなに落ち着いていられるんだ?俺は怖くては堪んねぇのに…」

「そういう段階はとうに過ぎた。それよりアイスさんがフリーズしたままなんだ。彼女は人間じゃないんだろ?俺は彼女とお前に騙されたんだろ?」

コウの推測を確かめる為に雛形に尋ねた。

「アイスはアンドロイドだけど宇佐木を騙すってどういうことだ?俺はアイスとお前を翔のマンションに連れて行く役目を白夜さんに与えられただけで詳しいことは聞かされてないんだ。何かあれば翔に連絡するよう言われたけど繋がらないし。」

じゃこれはハクと鳳の仕業か。でもハクが闇と手を組むわけない…と思う。

「兎に角、アイスさんを …」

「よぉ、黒曜石、元気にしてたか?」

「っ!?」

俺達の目の前に少年の姿をした闇が現れた。恭弥とは比べものにならないほどのどす黒い闇のオーラと冷酷な目は俺を震撼させた。

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