色彩繚乱
3
それからはいつものように何度もイかされ失神。目覚めたのは翌朝だった。毎回のことだから言っても無駄なのは経験済み。けど加減ぐらいしろってーの。俺はダルダルなのにスーツ姿のサイは疲れなんてこれっぽっちもない…って当たり前か。俺から吸い取ってんだから。
「俺も支度しなきゃ…」
ゆるゆると起き上がりベッドから出ようとしたら「今日は開校記念日だ。」と言われ、はたと気付いた。
そういえば担任が言ってたっけ。昨日のことがまだ尾を引いていたから休みで良かった。
「サイ、何処か行くのか?」
「ああ。九重に行く。類の報告と仕事の状況確認をしなければならん。クソ面倒臭いが疎かにするとお前も九重の人間だ。職務を真っ当しろと口五月蠅いからな。」
不機嫌顔でコートを羽織る。文句を言いながらも行くんだから責任感はあるよな。
「亜樹、外に出ても良いが出る時は…」
「わーてるって。コウも連れて行く。」
サイを見送りリビングに戻るとコウが目の前に現れた。
「亜樹、お久しぶりです。」
お久しぶりってまだ1日も経ってないのに腕時計の中は時間の流れが違うのか?と疑問に思ったり。
「顔色も良さげだし大丈夫みたいだね。」
「ええ。枯渇した分は補充しましたので万全です。私が居ない間、何か変わったことなどありましたか?」
「別になかったけど気になることならあったよ。」
「何ですか?」
「コウは寝てたから知らないかもだけどサイが異常に優しかった。」
思い当たるふしがあるのか眉根を寄せた。
「理由が解るなら教えて?」
「実に愚かしく情けない理由です。邪魔者を野放しにした結果、罪悪感に駆られ亜樹に優しく接したのでしょう。まったく龍王ともあろう者が嘆かわしい。」
苦虫を噛み潰したような表情をする。邪魔者を野放しって溝口のことだろう。ほんっとクズヤローだな。
「サイは悪くないよ。俺の不注意だから自分を責めることないってサイに伝えて?」
「亜樹は慈悲深いですね。」
慈悲深いって俺は聖母じゃない…いや聖母になるのか?黒曜石は生命を生み出す石だし。
想像したら鳥肌が立った。やめ、やめ!!話題を替えよう。
「ところでゲートは何処にあるんだ?」
「学園の近くの公園です。街の中心に位置しており、あらゆる気が集中しているので空間が歪みやすくなってます。力を蓄えたら、いずれ開こうと思ってました。行ってみますか?」
「うん!」
「では、これを。」
俺に腕時計を渡すと中に戻った。ゲートかぁ。なんかSFみたい。楽しみ。
ワクワクしながらシャワーを浴びて出掛ける準備をしていると携帯が鳴った。
非通知?誰だろう?
とりあえず出てみたら類だった。
「どうしたんだ?てか、俺の番号、教えてなかったよな?」
『ソウから聞いたんだ。ちよっと出て来れないか?』
「ごめん。今から公園に行くんだ。」
『じゃ、公園で待ってる。』
俺の返事を聞かずに電話は切れた。
「どうしたんだろう。急ぎなのか?」
とはいえコウに了解を得ずに公園に行くわけにはいかない。腕時計を嵌めコウに思念を送った。
『類が…解りました。行ってみましょう。』
『ソウも呼んだ方が良くないか?類の扱いに慣れてるし。』
『ですね。ソウにも公園に来るよう伝えておきます。』
類がソウじゃなく俺に用事があるっていうのが気になる。けど行ってみないと解らないのでダウンコートを着てポケットに携帯と財布を入れマンションを出た。
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