色彩繚乱
5
衝撃的な内容は俺の許容限度を超え思考が追いつかず頭が真っ白になった。
「顔色が悪いですよ?大丈夫ですか?」
顔を覗き込み心配顔をする。俺がコイツらと同じだって言うのか!?
「…嘘だ。そんな馬鹿な話、信じるもんか。人違いだ。帰ってくれ。」
疑う余地がないくらい見せ付けられたけど自分のこととなれば別だ。
「信じられないのは承知しておりますが話は終わってません。詳しく説明しますから聞いてください。ね?」
背中をさすりながら宥めるように優しく言われ俺は深く息を吐いた。
「ふぅ…。」
聞きたくないっていうのが本音。でもこのままうやむやにしてても気になって結局、聞くことになるだろうし、もしかしたら救いがあるかもしれない。
「お願いします。」
「では、話を続けますね。我等とアナタでは成り立ちが違います。黒曜石とは生命を生み出す宝石。黒曜石が彩王を生み彩王から我等を作り出したのです。巨大な力を分散させる為に。その後、黒曜石は彩王の片目に収まったのですが転生時に彩王から離脱したので眼孔が塞がらないよう私が紅龍石となり替わりに入ってます。」
コウの話から解ったこと。それは俺は意思を持たない石だったんだ。ってダジャレてる場合じゃあない!
「黒曜石か何か知らないけど俺は俺だ!自我も感情もある!」
「そこなんですよね。」
「はぁ?」
コウは顎に手を当てて思案してるみたいだった。
「黒曜石に自我や感情はないはず。これは仮定ですが落下した黒曜石は偶然にも妊娠中の母親の体内に飲み込まれ生命に引き寄せられた黒曜石は亜樹と同化したのでしょう。アナタがこの街にいたのに感知出来なかった理由もこれで納得できます。」
コウの話に俺は口をぽかんと開けた。
俺と黒曜石が同化?
「亜樹?聞いてます?」
「へ?あ、ああ。」
話があまりにも突飛すぎて現実味に欠けるというか…。
「私が話したことは全て真実です。受け入れ難いとは思いますが逃走しても彩王が地の果まで追いかけてアナタを捕らえます。確実に。」
真実を突き付けられ僅かな希望さえ砕かれ逃げても無駄だと断言する。救いどころかお先真っ暗じゃないか。
「それと…」
突然、裾を捲り俺の中に指を入れた。
「ひっ!?」
「ほら彩王の放った精は出てこないでしょう?アナタに吸収されたからですよ。わかりますか?これがどういうことか?」
ポイントを掠りながら掻き回されそこばかり意識が集中してしまう。
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