[携帯モード] [URL送信]

色彩繚乱
1鳳視点


(鳳視点)



学園から少し離れた小高い丘の上に白夜さんの自宅兼研究所があり俺は其処で白夜さんの助手として尽力している。今日は月1スーパーコンピューター島風のプログラムチェック日。欠損箇所がないか念入りにチェックしていたら不意に警報が鳴った。

「な、なんだ!?」

『警戒レベル4。侵入者を発見しました。白夜さま、如何致しますか?』

アンドロイドのアイスの報告を聞いても白夜さんは慌てることなく悠然と片手でキーを叩きワッフルを口に運んでいる。誤作動ということは有り得ないが…

「確認してきます。」

「いや、良いよ。アイス、警報、止めて。」

「えっ!?」

『了解しました。』

けたたましいサイレンが止まると室内は静まり返った。

「白夜さん、どうして警報を止め…」

ドカンッ!!

突然の爆発音に俺は身体を庇うように屈んだ。

なっ、何が起こったんだ!!?

辺りに立ち込める煙りと床に散らばる破片。この建物は白夜さんが開発した特殊な金属を何重にも張り巡らせ間に防弾効果のあるコンクリートを埋め込んでいる。それを破壊出来る爆薬がこの世に存在するのか!?

「チャオ〜っ。ボスーっ。お久しぶりですぅ。」


聞き覚えのある声に目を凝らすとロケット型のホウキに跨ったフランが敬礼していた。コイツだったのか…

「フランくん。相変わらず派手な登場だね。」

白夜さんは口に手を当て苦笑するが俺ならブチキレてる。

「これでも控え目にしたんですよぉ。あ、オタッキー先輩もいたんですねぇ。」

締まりのない顔で締まりのない笑い方をするコイツが大嫌いだ。

「居たら悪いか?」

睨み付けるとフランはホウキから降りて俺にホウキを差し出した。

「何の真似だ?」

「私はボスと話があるんで預かっておいてください。」

「俺は使用人じゃねぇ!ざけんな!」

放り投げると白夜さんが拾ってアイスに渡した。

「アイス、これ持って行って。」

『了解しました。』

「…ロボは素直なのに。」

ちらりと俺を見て口角を歪めた。この腐れヤロー調子に乗りやがって…

「てめぇ、俺に喧嘩、売ってんのか?あ゛ぁ?」

胸倉を掴み凄みをきかせた。にも関わらずへらっと笑いやがった。

「私が先輩に?イヤですよぉ。売るなんて、もったいない。」

ムカッ!

フランを突き飛ばし備え付けてある警備用のレーザーガンを手にした。

「白夜さん、コイツ、殺しても良い?」

「ワオ。過激〜っ!」

オーバーに驚くフランに銃口を向けた。

「名前通り腐乱死体にしてやるよ。」

「野晒しですかー?ちゃんと埋葬してくれなきゃ困りますー。」

ブチっ!!

「死ね。」

躊躇うことなく引き金を引こうとしたら白夜さんが銃口に指を突っ込んだ。

「っ!?」

「翔チャン、大人気ないよ?フランくん、煽らないように。ね?」

微笑む白夜さんに俺は仕方なく構えていたレーザーガン下ろした。

「…すいません。」

「はーい。」

コイツも白夜さんの言うことはきくんだよな。

「翔チャン、プログラムのバックアップ頼むよ。僕はフランくんと話があるから。」

俺には聞かれたくない話なのか。

「…解りました。」

話の内容が気になりつつも部屋から出て行く2人を見送っているとフランが振り向いて、べーっと舌を出した。

アイツ!!マジ、殺す!

思い切り壁面を殴ると破壊された壁がパラパラと更に崩れ落ちた。

『鳳さま、これ以上、壊さないで下さい。修理が大変ですから。』

「あ、わ、悪い。」

詫びるとアイスは人間のように自然に笑った。これほど精巧に出来たアンドロイドは世界に2つとない。故に厳重なセキュリティーでこの研究所は守られている。彼の研究を盗まれないように。

[次へ#]

1/8ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!