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エビチュ
3.
「あぅ…俺…帰る…」

「此処まで来ておいて、往生際が悪い。」

良く言うぜ。
前日から俺ん家に泊まりやがって有無を言わさず連れて来たくせに。

伊勢谷に背中を押されて老舗旅館竜宮城に入ると三人が俺達を出迎えた。

「よぉ。」

「待ってたぜ。」

「悔しい。伊勢谷くんがエビなんかと…」

竜宮と亀梨と乙姫。
まるで浦島太郎になった気分だ。なんて阿呆なことを考える俺は現実逃避まっしぐら。

「…これ、夢だよな?」

ボソッと呟くと伊勢谷からほっぺたを抓られた。

「いっ!?」

「夢じゃあないだろ?」

機嫌の良い伊勢谷にむっとした俺は足を思い切り踏みつけた。

「い゛っ!?」

「ふん。」

「何、イチャついてんだ?恥ずかしいな。」

亀梨が揶揄すると乙姫がブスッとした。

「イチャついてなんか…」

俺もブスッとしたら竜宮が「部屋に案内するから来い。」と苦笑。

「じゃあ、遠慮なく。」

伊勢谷は靴を脱いでサッサと行く。

「あっ…ち、ちよっと…」

「さぁ、どうぞ。」

仲居さんが笑顔で促すから仕方なく上がった。

長い廊下は鶯谷張り。壁には水墨画。棚には生け花。それらが客の目を惹きつける。

初めて来たけど、歴史を感じる。つてもボロいワケじゃあない。
天皇陛下も滞在したことがある立派な旅館だ。
風情があって趣もあって多分、一泊何万もするだろう。
ラッキーっちゃあラッキーだけど伊勢谷と一緒ってぇのがなぁ…

「この部屋だ。」

案内された部屋は和室。真ん中に襖があるから向こうは寝室だろう。

「夕食と朝食は7時。温泉は地下一階、使用時間は24時間。チェックアウトは10時。他に質問は?」

竜宮が伊勢谷に尋ねた。

「ない。」

伊勢谷が答えると今度は亀梨が伊勢谷に話掛けた。

「エビコンビに1つ、頼みがあるだけど、チェックアウト後、俺達とテーマパークに行かないか?姫が、どうしても伊勢谷とデートしたいって言うんだよ。」

乙姫の為に伊勢谷にお願いするなんて…つか、諦めるんじゃあなかったっけ?

「断る。俺は海老根としかデートしない。」

伊勢谷が断言したら乙姫は瞳をウルウルさせた。

「しゃーねぇか。姫、慰めてやるよ。なぁ、竜。」

「ああ。朴念仁に言っても無駄だと思ってたからな。姫、部屋を用意してるから来い。」

べそをかく乙姫を2人はヨシヨシと頭を撫でた。
亀梨も竜宮も乙姫に甘いからなぁ。いっそのこと2人と付き合えば良いのに。

「じゃあ、俺達はこれで。」

「エッチしすぎて腰、痛めんなよ?」

「伊勢谷くぅん…」

乙姫だけは名残惜しそうに部屋から出て行った。。

部屋に2人きりになると途端に伊勢谷の顔付きが変わった。

「海老根…」

すっかりその気モードに突入。

「ま、待て!俺は温泉に入りに来たんだ!」

「なら、一緒に入ろうぜ。」

あっさり聞き入れてくれたから拍子抜けした。
あ、そうか。自宅の風呂とは違うからか。でも一応、牽制球は投げた。

「エッチなことすんなよ?したら俺、即効で帰るかんな。」

「わざわざしない。夜は長いからな。」

うわっ!?
火に油を注いだとかゆう?

「お、俺は早寝、早起きで夜は短いんだ。」

「寝かせるワケないだろ?」

何、その言い方!
伊勢谷のくせにっ!

イラッとしたから浴衣を顔面にぶつけてやった。

「っせぇ!温泉、行くぞ!」

俺はバックから下着を出して浴衣と一緒に持ち部屋を出た。

「待てよ。海老根。」

伊勢谷もついて来て2人で地下一階の大浴場に向かった。そして脱衣場で服を脱ぎ腰にタオルを巻いて浴場に入ると目前には檜風呂。

「うわぁ…」

流石、老舗旅館。
温泉と檜の香りが心を和ます。時間帯が早いせいか、俺達しかいない。

ちらっと伊勢谷に目をやれば、引き締まった身体と綺麗に付いた筋肉…
ってか、前くらい隠せよ。隠してる俺が女々しいじゃんか。

「伊勢谷、それ…」

「えっ?」

「い、いや、何でもない。」

言って意識してると思われるのは嫌だし、妙な雰囲気になっても困る。
俺は伊勢谷から視線を外し掛け湯をして湯船に浸かった。

「ふぁ〜極楽、極楽〜」

ちゃぽん…

俺の横に腰を下ろす伊勢谷。

げっ!?

「む、向こう行けよ。こんだけ広いんだから。」

「俺は海老根の傍が良い。」

「俺は嫌だっつーの!」

人がいないのを良いことに絶対、触ってくるに決まってる。
湯を掻き分け端っこに移動したら、奴も追いかけてきた。で結局、追いかけっこ。

「はぁはぁ…」

つ、疲れた。温泉に来た意味なくない?

「上がるのか?」

「あぁ…てめぇのせいで湯当たりしそうだからな。」

湯船から出て風呂椅子に腰掛け、先に髪を洗った。

「ふぅ…」

い゛っ!?
伊勢谷が鏡に映るっている。

「おい、言っただろ?俺の後ろに…ひゃっ!?」

いきなり手が前にきた。

「洗ってやるよ。」

ボディソープを付けているみたいで俺の胸を手の平が滑る。

「やっ、やめっ…んぁっ!?」

乳首を指でクニクニされ思わず変な声が出てしまった。

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あきゅろす。
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