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エビチュ

「エビちゃん、この前はあんがと。お陰で来間ちゃんと友達になれたよ。」

「良かったな。」

俺に無防備な笑顔を向けるけれど笑っていられるのも今の内。手酷く犯して写メ撮って、それをネタに来間ちゃんに近づくなって脅してやる。

「お礼といっちゃあ何なんだけど、好きなもん奢ってあげる。付き合ってよ。」

「良いよ。お礼なんて…」

「まぁ、まぁ、そう言わずに。ねっ?」

下心を表面に出さないよう笑みを浮かべウインクしたら海老根はクスッと笑った。

「じゃあ、お言葉に甘え…」

「海老根。」

「あ、伊勢谷。」

ちっ。タイミングわるっ。

「何、してんだ。帰るぞ。」

コイツを先に倒さねぇと…

「エビちゃん、ちょっと伊勢谷と話しても良い?」

「良いけど…」

訝しげな表情の海老根と表情筋皆無の伊勢谷。でも眼光は鋭く俺を威嚇する。

「じゃあ、此処で待っててね。伊勢谷、来いよ。」

無言で俺の後ろから付いて来るけど殺気が半端なくて背中にバシバシ伝わってきた。

「伊勢谷、もし、エビちゃんに手ぇ出したら俺、ヤバい?」

薄ら笑いを浮かべると仮面男の目がメラメラ燃え立った。

「殺す。」

「だよねぇ。よっと…」

不意を付いて足で蹴り上げたが腕でガードされた。

「やるのか?」

「うん。目障りだからね。」

喧嘩で負けたことがない俺は伊勢谷に殴りかかった。しかし相手の方が一枚も二枚も上手だった。

くそっ、当たんねぇなぁ〜。リーチは長いし身のこなしはキレキレだし。つか、こりゃあ、有段者だな。どっちにしても一筋縄で行く相手じゃあ…

「ぐはっ!?」

パンチと蹴りが俺の頬と腹にヒット。口の中に血の味が広がる。

「黒虎、集中しろ。」

燃え盛っていた瞳が青白い炎を放つ。やべえなぁ。

「…ぺっ!」

唾液を吐き出し唇を拭った。マジでやったら殺しちゃうよ。そうなったら年少行き。愛しの来間ちゃんと会えなくなる。

「参った。降参だ。降参。あ、言っとくけど俺、エビちゃんなんか眼中にないから。来間ちゃんしか見えてないから誤解すんな。」

「来間が好きなのか?」

「お前がエビちゃんを好きな以上に好きだよ。出来るなら檻に閉じ込めておきたいくらい。お前なら俺の気持ちが解るだろ?」

口元を歪ませると仮面男の眉間に皺が刻まれた。

「俺はお前ほど病んでない。」

けっ、お似たようなもんだろうが。

「俺は自分に忠実なんだよ。エビちゃんには適当に誤魔化しといて。じゃあな。」

これで諦めたワケじゃあないけど必要以上に警戒されても困るし機会はまだあるし。

そうだなぁ…おっ、良いこと思い付いたぁ〜。上手くいけば一石二鳥だ。メインは来間ちゃん。で、どさくさ紛れに伊勢谷と海老根をヤってしまおう。

俺はファンの女達と男共を煽った。女達にはウブなダチが童貞を捨てたいからお前ら協力してくんない?と。男共には生意気な奴がいるからヤキを入れてくんない?と。連中は二つ返事で承諾した。

当日。残念なことに海老根と伊勢谷は途中退場。けど本命はマウンドに立った。いよいよ試合開始。来間ちゃんのバットが炸裂するか無惨に折れるか。ま、折れる方に賭けてるけどね。

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あきゅろす。
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