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エビチュ

「あ、その…それ…コンドーム…何処で手に入れたのかなぁ〜って。」

入手先が気になるっつーか。コンビニやネットじゃ中学生は買えないだろうし。

「あぁ、姉貴に貰った。中出しは腹を下す恐れがあるからな。」

姉貴って…伊勢谷の!?

恐る恐る「も、もしかして…お姉さん俺らのこと知ってるのか?」と尋ねたら、いとも簡単に「姉貴どころか親も知ってる。」と答えた。

そ、そんな…

驚愕の事実は俺に大ダメージを与えた。

「海老根は家族に好かれているから反対されなかったぜ。」

更に連撃コンボをくらい俺のHPは残り僅か。

「お前の処女を貰ったんだ。俺はお前を嫁にする。俺に一生ついて来てくれ。」

トドメの一撃で俺は死んでしまった。この歳でプロポーズされるなんて…伊勢谷の家族公認なんて…俺の将来はお先真っ暗だ。

「目眩が…」

ふらっと後ろに倒れそうになった俺を伊勢谷は支えて「幸せにするから…誓いのキスを…」と唇を寄せてきた。

幸せにする?誓いのキス?中学生が口にする台詞じゃないだろ?てか、カムするから俺に相談するのが筋じゃないのか?

俺の気持ちを無視した伊勢谷に無性に腹が立って鉄拳制裁した。

「い゛っ!?」

「俺はてめぇの嫁になる気も誓いのチューをする気もねぇ!勝手に決めるな!」

伊勢谷を突き飛ばしシャツを脱ぎ捨て学ランを着た。

「え、海老根…怒ってるのか?」

オロオロしても許してやるもんか!!

「自己中なお前なんか嫌いだ。」

部屋から出て行こうとすると伊勢谷が俺の前に立ちはだかった。

「どけよ。」

赤くなった頬が痛そうでちよっと悪いなと思ったけど俺を蔑ろにした報いだ。

「マジで俺のこと嫌いなのか?」

「何度も言わすな。」

「海老根…」

双眸に溜まった涙にギョッとした。

「お、男が容易く泣くなよ。」

「…泣きたくて泣いてるんじゃない。好きな奴から嫌いだと言われたからだ。」

ポロッと一筋落ちた涙はあの日の伊勢谷を思い出して胸がズキっと痛んだ。

『嫌われたら失ったのと同じだ。』

失うことの辛さは経験してるから伊勢谷の心情は嫌というほど解る。でも甘やかしたら図に乗るだけだ。此処は心を鬼にして…

「海老根…嫌わないでくれ…」

ぐぬぬ…。絆されるな俺!

「…頼む。」

絞り出すような声は聞くに忍びなく表情を崩さず流れる涙は見るに堪えられず伊勢谷の胸に額を当てた


「あのな…俺が怒ってるのはお前が俺に内緒で家族に話したからだ。」

「でも俺は本気で海老根が…」

「それでも先に言えよ。俺の知らない所で言われるとムカつく。」

「…悪かった。気を付ける。だから嫌いに…」

「嫌いな奴に身体を差し出すほど俺はお人好しじゃない。それくらい解れよ。」

伊勢谷の背中に腕を回し抱き締めると伊勢谷も抱き返した。

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あきゅろす。
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