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エビチュ
1真人視点


☆act2☆


(真人視点)


「…どうしたんだろう。」

昨日、芝くんにメールを送ったけれど返事はなかった。真面目な芝くんのことだから返信を忘れるはずはないし…

「何がどうしたって?」

ハルに独り言を聞かれて
苦笑いした。

「別に大したことじゃないんだけど芝くんからメールの返信がないから何かあったのかなぁっと思って。」

「ならば聞いてみれば良い。」

「…だよね。」

他愛のない内容なら気に止めたりしない。でも星くんが絡むと芝くんはバスケに集中出来なくなる。それは部員にも影響を及ぼす。だから朝練の合間に話し掛けた。

「芝くん、俺のメール、読んでくれた?」

小首を傾げるからメールの内容を小声で告げると見る見るうちに顔が赤くなりフレームを隠すように押し上げた。

「はぃ。あれから色々、ありまして…すいません。」

色々って何があったんだろう?

「いや、全然、良いんだ。参考になったかな?」

「…」

あれ?

「芝くん?」

「あ、はぃ…参考になりました。」

フレームを手で押さえているから表情は読めないけど指が小刻みに震えている。やっぱり何かあったんだ。

「悩み事?」

少し間が合って「いいえ。何もないです」と答えた。話したくないなら無理に聞き出すのは止めて芝くんの方から話してくれるのを待とう。

「俺で良かったら相談に乗るから遠慮なく言ってね。」

俺は笑顔を向けたけど目線を合わせることなく彼は頭を下げた。

「ありがとうございます。では、練習に戻ります。」

…大丈夫かな。

練習に戻って行く芝くんを目で追っていたら途中で派手に転けた。

あっ!?

駆け寄ろうと足を踏み出したけど近くに亀梨がいて芝くんに近寄った。

「おっと、こんな所に芝生が…」

徐に芝くんの背中を踏みつけた。

えっ!?

それを見ていたハルと竜宮が亀梨にボールをぶつけた。

えぇっ!?

「い゛ってぇ!何、すんだよ!?」

「悪い。手元が狂った。」

ハル〜、それは無理があるって。

「ボケッとすんな。」

竜宮〜、背後から投げたら取れないって。ドッジボールじゃないんだから。

「んなもん取れるわけないねぇだろうがっ!」

踏んだまま2人を交互に睨み付ける亀梨の足を芝くんが握って後ろに倒した。

「おわっ!?」

今度は亀梨が派手に尻餅をついた。

あぁ…痛そう。

「先輩、コートに芝生なんてあるわけないでしょ?グラウンドに行けば?」

怒気を含んだ声音に亀梨はたじろいだ。

「し、芝、じ、冗談だ、冗談。マジに取るなって、お茶目なイタズラだって、なっ?」

後ずさりながら、はは〜っと空笑いする亀梨に「じゃ、僕も踏んでも良いですか?イタズラなんで。」と足を上げた。

「お、おい、待て、待て。」

「人を踏んでおいて待ったはなしですよ。せーんぱい?」

怒りのオーラを纏った芝くんに亀梨は慌てて立ち上がり竜宮に「外周に行ってくる!」と告げ体育館から出て行った。


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