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エビチュ

「サイズも形も色々あるし小さいのから始めれば広がるよ。」

サイズ?形?広がるって何処が?てか、全く話についていけないんですけど。

「ち、ちよっと質問、良いですか?」

「はい、どうぞ。」

優しい声音と笑顔は僕の緊張を和らげてくれた。やっぱりマコ先輩は話しやすい。聞きにくいことも聞ける。

「言葉攻めとかマグロとかディ…何とかって何ですか?」

「漫画に描いてなかった?」

真剣に読んでた桜先輩なら覚えているかもしれないけど…

「淫猥すぎて直視出来なかったので…内容とかも頭に入らなくてインパクトのある絵しか思い出せません。」

それでも赤面ものだったから思い出して赤面した。

「赤くなられると説明しにくいな。後でメールするよ。」

口に出すのは恥ずかしいのかも。マコ先輩の顔も赤いし。

「お願いします。それと僕は受けっぽいのでしょうか?」

自分じゃ解らない。どの辺が受けっぽいのか教えて欲しい。

「俺に相談する時点で受け身じゃないか?」

た、確かに…そうかも。

「タイミングもあるけど芝くんがガッつく姿は想像出来ないかなぁ。バスケはガツガツ系だけどそれ以外はサッパリ系だし。星くんの性格は芝くんの話から察するに手を出さないのは芝くんを大切に思ってるからだと思うよ。」

大切だから大事…か。星はいつも僕のことを一番に考えてくれる。バイトで疲れていても食事は勿論、掃除も洗濯も全部、一人でやって「お前はバスケに専念しろ。」と笑う。僕も何かしなきゃ…星の為に。

「マコ先輩は僕と同じ立場なのでマコ先輩の意見を伺いたいのですが…」

「ん?同じ立場?」

そうか。マコ先輩は知らないんだ。桜先輩が漫画を読んだことも攻めを選んだことも。教えた方が良いのかな?でも教えるとそうなった成り行きを話さないといけなくなるし、また焼き餅妬かれても困るし。

「えっと…マコ先輩と桜先輩はどうなんですか?」

言葉を変えると瞬く間に顔面が朱色に染まった。やっぱり僕と同じじゃないか。

「お、俺達は…」

もごもご口を動かすけれど声になってないから聞き取れない。これが桜先輩との差なんだ。

「マコ先輩はそのままで良いと思います。」

男前な桜先輩に任せておけば機会はいずれ訪れる。

「えっ?」

だけど僕はリード出来ないから…

「もう一度、借りて良いですか?一冊で良いので。」

機会は自分で作るしかない。

「良いよ。どれにする?」

「マコ先輩のお勧めでお願いします。」

「解った。じゃ、これかな。内容も性描写もどぎつくないし絵も綺麗で主人公は格好いいし。」

渡された本は『kiss君love。』だったけど全く記憶になかった。

「ありがとうございます。入れる袋、ありますか?」

「あぁ、ちよっと待って。」

マコ先輩はカラーボックスから黒色のファイルを取り出し本を入れてくれた。

「これなら中身が見えないだろ。」

さり気ない心遣いに感謝した。

「助かります。」

「じゃ、ケーキ、食べよっか。」

にっこり笑うマコ先輩に僕も笑い一緒にケーキを食べた。久しぶりのケーキは甘酸っぱくて甘味も丁度良く美味しかったから、何処のケーキか尋ねたら海老根先輩のお父さんの店だった。

帰りに買って帰ろうっと。星もケーキ好きだし。

食べ終わった後はバスケの話を少しして、おばさんにお礼を言ってマコ先輩の家を後にした。

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あきゅろす。
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