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エビチュ
1桜視点


(ハル視点)



真人と恋人同士になって約3ヶ月。インハイは一回戦敗退に終わりお互い、バスケ中心だった生活も一旦、終了。休日はマーブルと遊んで映画を見に行った。しかし、これといって進展はない。キスもあの日、したっきり。幼なじみの枠を取り払う気があるのかないのか。

「どうしたの?難しい顔して。あ、解った!芝くんと星くんが上手く行っているか心配なんだろう?」

したり顔で何が解っただ。お前はちっとも解ってない。俺が心配してんのは俺達のことだ。付き合ってるんだぞ?このままで良いのか?先に進まなくても…って具体的に何をすれば良いんだろう?男同士で付き合ってるのは海老根と伊勢谷、それと芝。クラスメートに聞くよりは後輩の方が聞きやすいな。

「あれ?違った?」

「いや、違わない。芝に聞く。」

「やっぱり、そうだと思った。俺も気になってたから一緒に…」

「お前は来るな。」

「な、何で?」

聞きにくいに決まってんだろ。

「2人でじっくり話したいんだ。」

「ふ、2人で!?」

何、焦った顔してんだ?

「悪いか?」

怪訝な眼差しを向けるとバツの悪い顔をした。

「真人?」

「芝くんでもハルが俺以外と2人っきりになるの…嫌だな。」

「は?」

「だ、だって、俺、ハルの…こ、恋人…だろ?」

顔を赤くして言われるとこっちまで照れてしまう。

「ば、馬鹿。変な想像するな。」

「でも…」

ったく後輩で恋人持ちの芝と俺がどうにかなるわけないのに不安そうな顔して…仕様がない奴だ。

「俺を信じろ。」

真人の肩に手を置いてじっと見詰めた。

「はは…そうだよね。ごめん。」

苦笑いする真人に溜め息を吐いた。信用されてないのはムカつくけど、それだけ俺が好きだということだ。告白されるまで気が付かなかったけど、これまでのことを思い起こせば自ずと自分の気持ちが解りキスをして自覚した。隣に居ないと寂しくて芝と2人で練習しているとイライラした。真人の為なら好きなバスケも諦められる。

「おはよ〜桜、牡丹!」

前方から亀梨が手を振りながら歩み寄って来た。

「明日から朝練を再開するってさ。なぁ、キャプテン?」

後ろに居た竜宮が俺達の前に来た。

「インハイ一回戦敗退の悔しさを忘れる前に始めないとな。桜、母親の出張は何時からだ?」

「明後日。」

「猫は大丈夫なんだろうな?」

「それなら…」


俺が言う前に「大丈夫!俺の母さんが面倒みてくれるから。ね、ハル?」と真人はにっこり笑った。

「ああ。真人のおかげだ。」

人見知りするマーブルに真人は引っかかれながらも抱っこしたり撫でたりおやつを与えた。根気よく。最初は慣れなかったマーブルも次第に慣れ始め今では真人の家に連れて行っても怖がらす、おばさんや弟に触られても威嚇することはなくなった。

「なら安心だな。芝も調子を取り戻したし来年はインハイ優勝、狙うぞ。」

「優勝よりお前はくじ運の悪さを何とかしろ。インハイベスト4と一回戦で当たるとか最悪。」

亀梨が竜宮をジト目で見た。

「しゃーねぇだろうがっ。こればっかりは…てか来年はてめぇが引けよ。」

「ヤだよ。俺は将来に運を使う。」

「ちよっと、皆さん、聞きました?この人、部より自分の将来を優先しましたよ。クズヤローだと思いません?」

「なっ!!てめぇにクズヤローとか言われたくないわ!ゲスヤローがっ!」

「んだと!?早漏ヤローのくせにふざけたこと言うな!」

「はぁ?遅漏がエラいとでも言いたいのかよ!?」

「3すり半よりマシだと思いますけどぉ〜。ぷっクスクス…」

「オタクと違って俺は復活が早いんですぅ〜。先にバテる奴に言われたかねぇっつーの。」

せせら笑う竜宮に亀梨が
負けじと嘲笑した。俺は会話の意味が解らず真人に尋ねた。

「真人、そーろとかちろーうとか3こすり半とかアイツらは一体、何の話をしてるんだ?」

「あ、え、えっと…」

何故、赤くなる?恥ずかしい言葉なのか?周りの反応を見てみると女子は赤面し男子はニヤニヤ笑っている。やっぱりそうなのか?言い争ってる2人は生徒達の視線が気にならないみたいだけど。

「体力馬鹿はこれだから困る。テクニックじゃ俺にかなわいくせに。」

「体力がなけりゃぁ、テクニックもクソもねぇ。自慢すんじゃねぇよ。」

睨み合う2人の間に乙姫が割り込んできた。

「ちよっと、2人共、公衆の面前で何、言ってんだよ!!恥ずかしいだろ!!」

顔を真っ赤にして喚く乙姫はかなり怒っている。

「だって、コイツが…」

乙姫が亀梨の頭を鞄で叩いた。

「いってぇ…姫、馬鹿になったらどうするんだよ!?」

「これ以上、馬鹿になるか。」

今度は竜宮の頭を叩いた。

「てぇ…暴力反対!」

「煩い。ほら、行くよ。」

乙姫は2人の腕を掴んで校舎に入って行った。乙姫は可愛い顔してても性格は勝ち気だから2人は乙姫にタジタジだ。

「ハル、俺達も急ごう。遅刻するよ?」

「ああ。」

結局、意味は解らず仕舞い。芝なら知っているかもしれない。部活中に聞いてみるか。

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