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エビチュ
15完
「は、離せ…」

「離して良いのかよ?」

真っ向から見据えた。俺の心はお前に向かっている。

「目を反らすな。」

「…ぼ、僕は…」

赤く頬を染め睫毛を伏せる。顔には書いてあるのに口には出せないってか。やれやれ…

「解った。」

手を離して立ち上がった。

「帰って良いぜ。用事は済んだ。」

ここぞとばかりに出口のドアを開けた。押してダメなら引いてみなってな。さぁ、どうする?

「ほ、星…」

「話は終わった。帰れ。」

突き放す言い方に顔面が強張り唇が小刻みに震えた。足を踏み出せないなら口に出せ。

「芝、お前が信じないなら俺達はこれで終わり…」

「終わりじゃない!」

叫ぶと同時に俺の胸に飛び込んで来た。

「うわっ!?」

「終わりになんかさせない。させるもんか。」

強い口調で言い放つと唇を押し付けた。突然のキスは嬉しい誤算でキスの合間に「好き」を繰り返えし角度を変えて一生懸命、啄む。閉じた瞼がピクピク動き俺の胸に当てた指が小刻みに震えている。

何、この可愛い生き物わっ!可愛すぎんだろ!

思わず芝の頬を両手で挟んで舌を差し入れた。瞬間、突き飛ばされた。

「へっ!?」

「なっ、何、舌なんか、入れてんだよ!!てか、外から丸見え!!」

唇を手の甲で拭いながら顔面を真っ赤にして睨み付けた。

「先にキスしてきたのはそっちだろ?」

「ぼ、僕は、良いんだよ。し、したかったんだから…僕は良いんだ。」

耳をそばだてないと聞こえないくらいの声と自分自身を抱き締め羞恥に震える仕草は今まで見たどんな姿よりも可愛いらしくて頭を抱えた。

「ほ、星、どうした?」

近寄って来る気配を感じ右手を前に出した。

「来るな。ヤバいんだ。」

下半身が…

「何で?」

暴走しそうで…

「ムラムラしてんだよ。」

「気持ち悪いのか?」

ムカムカじゃねぇよ。

「だ、か、ら、お前を抱いちまいそうだって言ってんの。」

みなまで言わすな。ハズいだろうが。

「そ、それはヤバいな。
うん。」

後ろに下がり俺と距離を取ると畳の上で正座した。何、畏まってんだよ。いつもみたく「ばっかじゃない?僕を組み敷こうなんて100万年早いってーの。」って上から目線で言えば良いに。

「…反則だろ。」

この先、何処まで自分を抑えられるか…不安だわ。

「えっ!?」

「いや、桜先輩が説教するってさ。部活とインハイ、ほっぽるからだ。桜先輩、怒ってたぞ。」

「あぁ…メールするんじゃなかった。」

悄々と頭を下げるから側に行って芝の髪をそっと撫でた。

「俺もついて行ってやっから一緒に帰ろう。俺達の家に。」

俺の言葉に芝は弾かれたように顔を上げた。

「また、一緒に暮らしてくれるの?」

んな瞳をキラキラさせんなよ。

「らしくねぇな。そこは『僕と暮らせて有り難いと思え』だろ?」

「僕をらしくさせなくなるお前が悪い。責任、とってよ。」

なんつーう殺し文句を…解ってんのか?

「勿論。身の回りから下の世話まで全部、やってやるよ。両想いになったんだ。もぅ、逃がしてやんねぇ。」

ニヤリと笑うと顔に紅葉を散らせたように赤くなった。気持ちを自覚したからって変わりすぎだろ。そんな調子だと俺の自制心が保てねぇって解ってないんだろうなぁ。でも大切にしたいからゆっくり焦らずじわじわ攻めてやる。覚悟しとけよ。芝。


終わり。
次回は桜視点です。



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あきゅろす。
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