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エビチュ

「その前に甘木さん、腹、減りません?朝飯作りますよ。」

俺も約束は守らないと。

「星くんの手料理も魅力的だけど、せっかくだから俺とデートしない?」

「えっ?」

唐突に言われ戸惑った。芝に謝るのが先だし朝飯と掃除が終わったら帰るつもりだし。

「ダメ…かな?」

囁き声で長めの前髪を耳に掛け上目遣いで見詰める甘木さんはフェロモンを漂わせ俺をどぎまぎさせる。これで男なんだから性別越えてるよな。

「ダメとかじゃなくて…その…あ、服、そう、この服でデートは無理っつーか…」

「服なら俺が買ってあげる。」

「いや、いや、甘木さんにこれ以上、甘えられないッス!」

それでなくても迷惑掛けてるんだ。

「星くんはほんと、マジメ君だよね。」

マジメ君って、やっぱ俺、からかわれてる!?

「今日はクロ達と夕方、待ち合わせてるからまた今度にしよう。」

俺も晩飯に誘われてたんだった。尚更、芝と話をしなければ…。

「甘木さん、買い物に行きましょう。」

はやる気持ちを抑えつつ靴を履くと甘木さんは車のキーを手にした。

「遠いんですか?」

「近いけど買い物するからね。」

ああ、なる程。ってそんなに買い込む気か?

家を出て車を走らせること約2分でスーパーに到着。店内に入りざっと見回した。

「甘木さん、味噌とかダシとかあります?」

「俺、基本、ジャンクフードなんだよね。だから何もないよ。」

そういえば台所、使った形跡なかったな。ならパンにするか。それと調味料も買わないと…

「星くん、お菓子やアイスも買って良いよ。」

長居は出来ないから買っても食べれない。気持ちは嬉しいけど。

「大丈夫です。甘木さん、あっちに行きましょう。」

店内を回り必要な物をカゴに入れると甘木さんも飲み物やらビールやらつまみを入れカゴの中は一杯になり車で良かったと思った。

「当分、スーパーに来なくて良いですね。」

「俺、コンビニしか行かないんだ。」

「コンビニにないものはどうするんですか?」

「甘野に買いに行かせてる。」

かんのって…まさかあの甘野さんじゃないよな。珍しい名字じゃないし。

「そろそろ、帰ろっか。お腹、空いた。」

「あ、はい。」

会計を済ませ来た道を帰り車から買い物袋を下ろした。

「星くんって力持ちなんだね。」

「うちのバイト、けっこう搬入が多いし売り場替えしたりするんで。」

「だから良い身体してるんだ。良いね…羨ましい…」

俺の胸に手を当て見詰める甘木さんの目がなんかヤバいような…

「あ、あま…」

「玄関先で何、やってんですか?」

突然、割ってきた声に振り向くと甘野さんがいた。

「か、甘野さん?」

「あれ、星くん、どうして此処に?」

それはこっちが…あ、さっき言ってた甘野って甘野さんのことだったんだ。

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