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エビチュ

翔さんは僕の為に生姜焼きやニラ玉を作ってくれた。星とは違う味付けだったけど美味しくてオネェだからと嫌悪した自分を恥じた。それからマコ先輩と竜宮先輩はバスケ論議に花を咲かせ僕と桜先輩は2人の会話に耳を傾け偶に相槌を打った。

そして時間は過ぎ9時を回ったところで竜宮先輩がお開き宣言をして僕達は席を立った。

「翔さん、そろそろ帰ります。ご馳走さまでした。新作、旨かったです。」

「こちらこそ協力、ありがトン。少しアレンジして明日からお店に出すわ。」

「翔さん、飲み物代金は幾らですか?」

桜先輩が翔さんにお金を払おうとしたら翔さんは「高校生からお金は貰えないわ。」と笑顔で断った。良い人なんだな。と思ったのに帰り間際、僕にチュッと投げキスをした。

な、何故、僕に!?

「ゆきにゃはまた来てねん。」

ゆ、ゆきにゃ!?てか、投げキスとかいらないから!

「翔さん、気に入ったからって手を出しちゃ逮捕されますよ?」

「やだぁ、無理やりなんてしないわよ〜。身体中にキスしてトロけたところで頂くわ。」

「翔さんのテクならどんなヤローでもイチコロですよ。」

「坊ちゃん、試してみる?私、指使いも舌使いも自信あるわよ。」

「組み敷くのも喰うのも勘弁してくださいよ?俺、バリバリの攻めなんで。」

こ、この人達はまた下品なことを…

げんなりしているとマコ先輩が「それくらいにしてくんないかな?」と笑みを浮かべた。でも目は笑ってなかった。普段、温厚なだけに怒るとこわそう。

「は、はは…だな。わりぃ。じゃ、翔さん、また。」

やっと店を出ることができ安堵の吐息を吐いた。これで僕の役目は終了。凄く疲れたけどマコ先輩と桜先輩が居たから僕にとって、とても充実した1日だった。

「竜宮、芝くん、俺達、こっちだから。また明日。」

仲良く帰る2人の後ろ姿に明日から一緒に練習出来ると思うと胸が高鳴った。

「芝、アイツらの間に割り込もうとするなよ?」

「はい?」

「だからさ、邪な感情を持つなってこと。」

言ってる意味が解らなくて怪訝な表情をすると竜宮先輩は苦笑した。

「ま、いいや。途中まで一緒に行こうぜ。それにしても翔さんに合わせるのは骨が折れる。」

歩きながら首を揉み溜め息を吐いた。

「合わせてたんですか?」

「当たり前だろ。俺のキャラじゃねぇっつーの。家業の為に客のご機嫌取ってたの。これでも孝行息子で通ってるんだ。」

「そうだったんですか。てっきり下ネタ好きと思ってました。」

「俺をそんな目で見てたのかよ。参ったな。」

「多分、マコ先輩達も思ったと思います。」

「はぁ…明日、弁解しとこ。っと、俺、こっちだから。またな。」

竜宮先輩は僕に軽く手を振り商店街の方に歩いて行った。

「一体、何が言いたかったんだろう?てか邪な感情って何だ?」

嫉妬とか?それはないな。僕は2人のプレーが好きだ。パワーとセンスに溢れるマコ先輩。広い視野とテクニックある桜先輩。敬う気持ちはあっても妬む気持ちは皆無。もって生まれた才能を羨ましがるのは具の骨頂。それより良い所を吸収して自分のモノにする方が堅実だし健全だと思うから。

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あきゅろす。
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