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エビチュ

「ん?芝、顔が赤いぞ?熱でもあるのか?」

亀梨先輩に顔を覗き込まれ慌てて自分のロッカーに行き着替えを始めた。

「ちっ。無視かよ。せっかく心配してやってんのに。おい、芝、桜が復帰すっからって苛めんなよ?」

苛めてるつもりはないけど傍目からみればそう見えるんだ。僕って感じわるって自業自得だけど。

「…しませんよ。尊敬する人だし…」

「へ?尊敬?お前、桜を尊敬してんの?」

ギクッ!!

「ま、まさか、違います。」

ドキドキ…

「だよな。お前、毒舌だし桜を敵視してるし桜もお前のこと嫌いなんじゃね。」

ガーン!!

「バスケの腕は認めるけど、あんま調子こくなよな。」

ムッ!!

「そう見えるなら気を付けますが亀梨先輩よりは調子こいてないと思います。」

「おま、俺が調子こいてるって言うのかよ!?ちよっと上手いからって図に乗ってんじゃねぇぞ。バスケはチームワークだ。連携プレーを重視するスポーツだ。信頼関係こそが勝利への道に繋がる。1人1人が仲間の為に全力を尽くす。うちのチームにワンマンはいらねぇ。」

解りきったこと一々、言われるとイラッとする。

「はい、はい。解ってますよ。すいませんでした。口が過ぎました。」

いい加減に謝ったのに亀梨先輩は僕の肩を軽く叩きにかっと笑った。そこは「てめぇ、口先だけで謝ってんじゃねぇ。」でしょ?鈍いの?

「解りゃあ、良いんだよ。解りゃあ。クソ小生意気な後輩でも俺はお前みたいに底意地悪くねぇから安心しな。」

クソ生意気で底意地悪くて悪かったな。アンタに嫌がらせされてもやりこめる自信はあるんだ。だって試合前、何回もトイレ行くぐらいメンタル弱いし。

「お気遣いどうも。」

ムカむかついたけど取り合うのは面倒くさいから軽く頭を下げ部室を出ると竜宮先輩と桜先輩、マコ先輩が和気藹々と談笑していた。良かった。わだかまりはなさそう。竜宮先輩は亀梨先輩より人間出来てるし話せば解る人だしリーダーの資質あるし。何より横暴じゃないところが好ましい。

「あ、芝、お前、部活後、暇か?」

いきなり竜宮先輩から声を掛けられ「はい。」と返事した。

「だったら飯、食いに行こうぜ。」

今夜は星が居ないしコンビニ弁当にしようと思っていた僕は「解りました。」と返答した。が桜先輩とマコ先輩が一緒だなんて聞いてないんですけど!?

「じゃ、行こっか。」

「は、はぁ。」

って何故、桜先輩、僕と並んで歩くんですか!?あっ、もしかして、僕、そんなに嫌われてない!?だとしたら嬉しいなぁ。と思ったのは束の間で沈黙が続くと流石に気まずい。

何か喋らないと…うーん…僕と彼の共通の話題ってバスケかな。

「あ、あの…」

「でさぁ、亀が姫にスイカを持って行ったらお返しに姫が亀にイカをやったんだよ。スイカとイカって…マジ、ウケる〜。」

「イカなんてイカすね。」

「うわっ、オヤジギャグかよ。さむっ〜。ナイスイカの方がいいんじゃなイカ。」

「はは…それ、さむすぎ。」

イカイカって2人共、何、ワケ解んないことで盛り上がってんの!?

「イカ…イカリングにスイカでシュート…シュールな絵図…ズラがズレてズッコける…」

桜先輩は連想ゲームになってる。あぁ…もうどうでもいイカ…って僕までイカが頭から離れなくなってしまった。

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あきゅろす。
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