雨夜之月‐あまつき‐




ガサガサっ



草をかき分ける音

草木を踏みつける足音




「愁怜!」





聞きなれた声

馴染み深い気配




自然と口角が上がり笑みがこぼれる





「ったく・・・一体どこまでほっつき歩いてるんだい?」





私の姿を見つけて呆れながらも言う





「だってさ、梵なら見つけてくれるって分かってたし。」




ニコリと笑って梵天を見る


深く長い溜息をつく梵天




「・・・あのね、君はとっても珍しい体質なんだからさ

 もう少し自覚を持ちなよ・・・」


「十分持ってますって。」


「小妖怪に襲われたってしらないよ?」


「その時は梵天とか露草が助けてくれるでしょ?

 

 ――ねぇ露草。」




木の上を見ると不機嫌そうな表情の露草




「お前も来てたのか・・・。」


「空五倍子がギャーギャーうるせェんだよ。」





うん。空五倍子は母親みたいな性格してるから

小言には五月蝿いんだよねぇ。





「空五倍子に怒られるのは嫌だなぁ。」


「だったら帰るぞ。」





ガサっと木から下りて私の前に立つ




「そうだね。」


「お前ら俺の存在を忘れてないか?」




顔を引きつらせている梵天


クスクス笑って梵天に言う




「そんな事ないよ。梵天ってば淋しがりや?」


「そんなわけないだろ!」


「ふふ、じゃ帰ろうか。」





露草と梵天の手をつかんで住まいに帰る


笑いながら真ん中を歩いている私

引っ張られながらも後ろで睨み合っているのは知らない



((・・・・・・))

(あ!空五倍子だ!)



かなりご立腹の空五倍子がお出迎え

その後長時間の説教が待っていた

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あきゅろす。
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