以前の君達が大好きでした/krk
「うはー!帝光ってデッカいなー!!」

日本の中学校の入学式に合わせて帰国したあたし
四季が有名な日本、綺麗な桜が綺麗に咲きほこる

「幼馴染みの約束だ!バスケ部入るぞー!!」

首にシルバーチェーンが輝き、制服の上からギュッと握り締めた

入学式から数日後
そこの女バスは低レベル過ぎた
帰国子女ってだけで皮肉めいたこと言われた
楽しくバスケをしてたら生意気だ言われた
日本のバスケはこんなにもつまらないのか

期待外れすぎる日本のバスケに落ち込んだ

「よっしゃー!!」

それほど遠くない所から複数の人の声が聞こえてきた
近づいてみると馴染みのある音が好奇心を際立たせる
第一体育館からのもので、こっそりと覗いてみた

「―――!あれ、は…!」

いろんな色の奴らが楽しそうにバスケをしてる。
6人の男子と女子が1人、部員にしては少ないが人数なんて関係ない。
時間帯も時間帯だ、きっと彼らは自主連組なんだろう

「Wow!! Happily doing basketball!」

青の短髪はめっちゃ楽しそうにやっててドクンと心臓が高鳴る
バスケがやりたくて、やりたくて、やりたくて体がウズウズしてきた

「Hey!!Guys!!!May I play basketball together with me !? 」

アメリカの癖が出てしまい、乱暴に外靴を脱ぎ捨て、裸足の状態で体育館へ入った。

「I want to do a basketball!! Is it not?」

ぽかんとした彼らだが、赤い髪の男子がにこりと笑った

「Come here.」
「Thanks!!」

そこから直ぐに打ち解け合い、男バスに入部することになった。
基本はマネージャーということになっているが、部活が終わればストバス行ってバスケを楽しんだ

――なのに

「なんでだよ!!セイジュウロウ!!!」

皆が変わってしまった。
力を開花してしまった彼らは別人になってしまった。
バスケの試合は勝利にしかこだわらなくなった。

"勝つことが当たり前、負けることは絶対にない。"

沢山点を取ってもそれが当たり前、楽しさなんて全くなくなってしまった。
生き生きしてたあの頃が嘘のようで、信じたくなかった

「こんなバスケは間違ってる!!!楽しさも高揚感も全く感じないバスケはバスケじゃない!!!」
「何をそんなに怒鳴る、勝つのは当たり前のことだ」

学年が上がり、セイジュウロウが主将となり、ガラリと変わってしまった男バス。

「勝利が当然のように言うな!!バスケはチームプレイが命だ!!
 なのになんでお前らは個人技ばかり集中する!!」

部室にある机を思いっきり叩き、セイジュウロウを睨みつける。
赤と黄のオッドアイが細められあたしと視線を交じ合わせる。

「お前はなにがそんなに気に食わない?」
「全部だ!!二年になった時からお前らは変わった!!」

レギュラー全員を睨みつけるが、みんな理解できないとでも言うような目であたしを見る。

「バスケは楽しむもんだ!!!
 負ければ悔しいから次を頑張る!もっと上達しようとする!!
 一点でも多く、一試合でも多く勝つと心の底から楽しめる!!
 それがバスケだろう!?」

なのに、こいつらのバスケはそんなものを何一つ感じない。
言うならば無。
勝利すれば嬉しいはずがそれが当たり前
いくら点数を入れても、ただの入れてるだけで楽しさなんて微塵もない。
そんなの間違ってる。

「ふざけたこと言うな、そんなものバスケじゃない
 チームでわいわいやるなんて弱い奴らがやることだ」

がしゃんという激しい音にサツキの悲鳴。
さすがのほかの部員も顔を歪めさせた。
あたしはセイジュウロウの胸ぐらを掴見上げたからだ。

「今の言葉撤回しろセイジュウロウ」

低く小さく唸るように威嚇するように言った。

「あたしは以前のお前らのバスケが大好きだった。
 でも今は

 ―――お前らのバスケが大嫌いだ!!」


胸ぐらを掴んでた手を離して、同身長の彼を睨みつける

「お前らのバスケなんて見たくもない」

手で握り締めてたくしゃくしゃになった退部届けをセイジュウロウに押し付けた

「お前らには失望した。」

バッシュと荷物、自前のボールを掴み男バスから姿を消した。






「――誠凛、か…」

真新しい制服に身を包み、高校という生活に色を染める。 



(確かにあの頃は楽しかったんだ)
(彼女が放った言葉にズキリと共感してしまった)
(あの日から俺たちはモヤモヤを抱えたまま)
(彼女は俺らの目の前から消えていて悲しくなった)
(沢山食べても拭えないこの感情に苛立った)
(自問自答しても理解ができなかった。)
 

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あきゅろす。
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