キタナイあたし BRAVE10
※デフォ名 蒼空(ソラ)です。





"いいか、必ず守り通すんだぞ"

"はい、とうさま!"




「待ってよ、蒼空、さいぞー!」

「早くしないと日が暮れるよ」



いくぶん遠くにいる守るべき娘を振り返ってみる。

上質な衣服を身纏い、息を切らしながら後ろからやってくる。



「はやく幸村様のところに戻らないと心配かけるよ」

「うぅ…だってーあそこの団子屋がー…」



まだ名残惜しいのか、先ほど食べてきた団子屋が気になるようだ。



「幸村様に頼めばまたすぐに行けるよ。」



幸村様は伊佐那海のことを特別視してるからね。



なんて本人の前では言えないこと。



「じゃ、次はみんなと行こうね!絶対才蔵もだからね!」

「はぁ!?」



なんで俺もなんだよ!とぶーぶー文句を言う才蔵を無視して、いつもより上機嫌な伊佐那海に戻った。


「……」



どろりと、


また、


どろりと、


また彼だ。


醜いものが、


いつも、


ふつふつと、


一番に呼ぶその名は、


湧き上がる。


あたしじゃなかったの?




「蒼空ー?蒼空も疲れた?」

「え、ううん。忍である霧隠なんかより、猿飛の方が役に立つなぁって思っただけ」




ふふっと笑いながら霧隠を一瞥すれば、すぐに啖呵切ってくる短気な彼



「大丈夫だよ、蒼空!才蔵は強いもん!」



ほら、まただ。

また醜いあたしが顔を出してくる。


あたしだって伊佐那海が来てから、

ずっと山に籠って修行をしてたのに、

強くなってるはずなのに、

どうして、こんなにも違うの。

ずっと毎日鍛錬も欠かさずやってるのに。



「あ!蒼空は絶対だからね!!私と蒼空はずっと一緒なんだから!!」




ねぇそんな満面な笑みで、あたしを見ないでよ、伊佐那海



「…伊佐那海、早く帰ろうか。」



パっと彼女から目線をそらして、手を掴み城下町を後にする。



お願い気づかないで

こんなに醜いあたしを



「伊佐那海、蒼空、才蔵、おかえり」

「全く何時間ほっつき歩いてれば気がすむのよ」




一番じゃなくてもいいから、

二番でもいいから傍にはいさせて

じゃないと、あたしのいる理由がないから



  

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あきゅろす。
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