あなたは誰ですか?世界を壊さないでください。St☆Sk





『 あ な た は だ れ で す か ? 』








真っ暗な闇にポツンと佇む自分。

ぐるりと見渡しても何もない一面の闇。




「・・・・・・ここ、どこだ?」




俺はなにしてるんだ?





首を傾げて呟いても返答はない。

ふと、目の前に広がる景色に包まれる。



ざわざわと丁度いい雑音

"いつもみる情景"




あ、"あの子"がいる。

クラスメイト達に囲まれて笑いながら喋ってる。

時には赤面し、不機嫌になり、笑い、驚愕する




星月学園唯一の女子生徒でマドンナの"芥川 愛"-アイカワ メグミ-




彼女がいれば、みな集まる

彼女が笑えば、みな赤面する

彼女が出かけると言えば、みなデートに誘う

彼女がお腹減ったと言えば、みな何かを買ってくる



彼女は可愛いかった。

誰にでも好かれ、愛されてた。



彼女は頭も良くて、運動神経もいい。


いつも学科のTOPは当たり前、

学年首位の成績をいつも納めていた


大会間近になると各部から助っ人としてお願いしていた



星月学園の紅一点、ヒロインだ。





「・・・・・・"違う"・・・」





思わず口に出たのはそれらを否定する言葉

その言葉は誰にも聞こえることなく雑音に飲み込まれていく




あの女じゃない。

もっと別の女だ。



誰にでも優しくて、いつも笑顔で、頑張り屋で、

色んな活動に携わってて、不器用で、

幼馴染と一緒にいて、鈍感で、危なっかしくて・・・





"彼女"の名前は?



彼女にピッタリな名前だったはず

彼女を中心に星々がいる。



夜になるといつも照らしてる




「・・・・・・つき、こ・・・?」



そうだ、月子だ。



"夜久月子"。



俺の大切な友達。

唯一気を許せる人物。




何 で 月 子 が い な い の ?





目にとまったクラスメイトに声をかけた




「なぁ・・・月子は?」

「は?月子って誰?」




クラスメイトは笑いながら頭大丈夫か?と心配してきた。



"月子"を知らない?

あんなに月子月子騒いでたじゃん。



幼馴染なら知ってるはずだ。

芥川愛と楽しそうに話してる二人に駈け寄る



「哉太、錫也・・・」


「ん?なんだ悠かよ」

「どうしたんだ?」



「月子はどこ行ったの?風邪で休みなのか?」




最後の希望だった。

月子は哉太と錫也達の幼馴染。

何かしら連絡とか行ってるはずだ。



でも俺は見落としていたんだ。





「は?お前何言ってんだ。」

「えっと・・・月子、さん?っていう人がどうかしたのか?」




心配性でオカン気質でいる彼が




「なぁ哉太知ってるか?」

「いや、全然・・・っておい悠、顔真っ青だぞ」



彼女が風邪だったり倒れてたりしたら



「ほんとだ、大丈夫か?保健室に行った方が・・・」

「・・・いや、大丈夫、大丈夫だから。」




真っ青になって気が気じゃないのに




「そうか?・・・無理するなよ?」

「あ、ああ・・・さんきゅな・・・」




芥川愛を見て楽しそうに話してんだ。



気付けば教室から抜け出して

走って走って屋上に駆け込んだ。



「はぁ・・・っはぁ・・・!」




きもちわるい・・・

はきそう・・・




「・・・なんでこうなった?」





じゃ芥川愛ってだれだ?

この女は誰だ?



いつから月子はいないんだ?




『はーるか!』




「・・・かえ、せよ・・・!!」




ギリっと手を握り締めて、奥歯を噛み締めた




「月子を返せよ・・・!!!!」




この"世界"は狂ってる




「俺の知る"世界"に戻してくれよ・・・!!!」




ぐにゃりと世界は歪み

気付けば俺の部屋だった







(おーい!お前ら転校生が来たぞ!!!)
(はじめまして、芥川愛です!)

((・・・うそ、だろ・・・))
((なんであの女が・・・))

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