短編小説
Rain song.
雨が降った、次の日。
湿った土と、濡れた草の匂いが混ざり、独特な匂いを放つ。
しかしどうしたものか、俺はこの匂いが好きだった。
降りやんでも乾かない水溜まり。
コンクリートの色を濃い灰色に変えた。
何の音も響かない。
聞こえるのは、自分が歌う、下手くそな鼻歌だけ。
好きだ、この匂いが。
好きだ、この静けさが。
好きだ、何もかもが。
雨が降った、次の日は
何だか不思議な気持ちになる。
好きで溢れそうだ、溢れてしまいそうだ。
そんな雨が降った次の日が好きだ。
さあ、雨の降り終わった今なら、歌えるだろう。
遠くの君を思う歌が。
きっと、届くだろう。
君の元へと。
Rain song.
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