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短編小説
How about you?
“好きなんです”


一斉一代の、真剣な告白。

きっとこの先、この人しか愛さないと自分に約束して、言った言葉。


How about you?
(貴方はどうですか?)


その言葉が言えず、時間が過ぎていく。

ああ、こんな状態が何時まで続くのだろう。

もしかして、冗談だと思われたか?

いや、そんな筈は無い。

今まで何回もこの人に嘘をついてきたが、種明かしはいつも、嘘をついた3秒後。


“嘘でした。本気にしました?”

この人は、この言葉を待っているのだろうか?

残念ながら、今回はその言葉を言うつもりは一切無い。

だってこれは、嘘一つ無い、告白だから。

この人だけを見て、一体どれだけの歳月が経った事か。

言わなかったら続いていた、平行線のままの関係。

ただその関係が、今はとても苦しくて。

だから、一歩踏み出してみた。

二度と元に戻れなくなるかもしれない、言葉を言った。


“返事は今では無くていい”“答えが出たら、その時に伝えて下さい”


言いたくても、喉に詰まりなかなか言えない言葉。

ああ、今のこの人の頭の中が、自分だけで埋め尽くされているとしたら、どれだけ自分は幸せなんだろうか。


言いたい、言えない。

また一歩踏み出そうとして、引き下がる弱気な自分。

畜生、さっきの言葉を言った自分はどうした!

後悔はしないって、決めただろう?

ならもう一歩くらい、踏み出してみろ!


好きだ、好きなんだ。

今の関係よりも、一歩先の関係になりたい。

我が侭だ、勝手だ。

それでもこの人が好きなんだ。


言わなくては。

“How about you?”

と。


“なぁ”


“その…、何だ。
お前の気持ちは分かった。
真剣な気持ちは伝わってきた。

だけど、今すぐ答えを出すことは難しい。
悪いけど、少しだけでいいから、待ってくれないか?

真剣な気持ちで言ったお前に、簡単な気持ちでは返せないから”



考えるよりも先に、頷いた。

本能で。
言葉の意味を捉える前に。


答えはいつでもいいですから。

ただ、その時は言わせて下さい。

“How about you?”

と。













How about you?

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