短編小説 身長差。 取れると確証して伸ばした手。 届かなかった位置あったことに気付いたのは、伸ばした数秒後。 爪先で限界まで手を伸ばすが、届かず諦めた。 (…届くと思っていたのに) 肩を竦めて、手の届かない本を、じっと見つめる。 突然、背後から伸びる、白くて細長い腕。 自分が取れなかった本を、いとも簡単に取ると、驚いて目を見開く自分の顔を見て鼻で笑い 「無理すんな」と一言。 渡された本、 遠くなる背中、 畜生と一言、呟く自分。 届かない本も、届かない背中も いつか自分が捕まえみせるから。 身長差。 [*back][next#] [戻る] |