恋愛リアル ナナ ―敬語 Side― 寝不足気味の頭と気怠い身体を引きずりながらも、何とかテスト最終日を迎えた。 夏樹には会えたものの、その度にプイッとそっぽをむかれ、全く相手にされない。 俺はだんだん苛立ち始めていた。 だいたい一体アイツが怒る理由が分からない。 分からないのはいつものことだけど…。 「また中萱先輩来てたぜ。」 「またかよ!!」 「仲良いからな、夏樹さんと先輩。」 すれ違いざまに飛び込んで来た会話。 こういう時に限って、知りたくない情報が勝手に耳に入ってくる。 「…もう、勝手にしろよ」 俺は話そうと努力したもん。 無視するのは夏樹だし! 俺だって暇なわけじゃないんだ!! 変な意地まで出て来て、 めちゃくちゃ最悪な気分だった。 [前へ][次へ] [戻る] |