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恋愛リアル
ゴ
−敬吾 Side−

浴室から出てきた夏樹は意外と元気があって少し安心した。
あんな事があった後だからどうしてやるのが良いのか分からなかったけど。こういう時は普通にしてやるのが一番なのだろうか?
もし仮に、付き合っている彼女がもし同じめに遭ったとしたら?

いや…そんな事を考えるのはやめよう。
夏樹を見てたらそんな考え自体無駄に思えた。

普段より大人しく素直にソファーに納まり、じーっと口も付けづにマグカップを見つめている。
やっぱ辛いのか?けど、聞いても良いものなんだろうか?
ダメージ負ってるのにその話題を避けるってのも無理があると思うんだけど。
なにより俺が許せない。被害被ってる訳だから学校とか警察とかに関わってもらって相手側を罰するとか…いや、そうなると夏樹の事も公にしないとならない。もっと傷付くに決まってる。
クソー!どうすりゃいいんだ。

「カラダ…キツイなら横になってろよ。」

心の中でグルグルと苛立ちやら無力さやらいろんなもんが渦巻いてるけど、言葉にしたのは簡単なことしか出て来なくて、結局俺には何も出来ないんだ。
本当に不甲斐無い。

「平気だ、いつもより強引にされただけだし。」

「そっか…。何か他にして欲しい事あるか?何でもするぞ!」

「プッ!アハハッ。何でそんなに必死なのー?」

そんなに可笑しいのか?俺の方はかなり真剣に何かしてやらなきゃと模索してたのに。それを笑われるなんでつくづくコイツは頭に来る奴だ!
そんな俺を指まで指しながら夏樹は一人でケラケラ笑うと急に静かになって、また俯いた。

「…じゃあさ、ちょっとだけ背中貸してよ。」

それは搾り出すような小さな声で、でも確実に俺の耳には届いた。黙って隣に座り、夏樹に背中を差し出す。夏樹はその背中に身体を預けて来る。
あまり重さは感じない。全部体重を掛けられたってこの細くて軽そうな身体なら、支えられる自身はあるけど。
額しか付けて来ないのがなんだか寂しく思えて、グルリと反転し、自分の胸へ夏樹を向かい入れる。

「っちょっ!何してんだよ!?」

「こっちの方が良いじゃん。」

何が良いんだか俺自身も疑問だけど、今は夏樹を抱きしめたいと思った。今日夏樹が言うワガママは全部聞いてやりたいとも。そう思う事がなんだか自然な事に思える。

「何?同情してくれてんの?」


コレは、同情…なのだろうか?


「…違う!俺はお前がス…」

おいおいちょっと待て!!俺…今何て言おうとした?



スキって…。


エエー!!
好きって何さー!?


アハハハ、まさかー。
いくら夏樹が肌が白くて綺麗で細くて男には見えなくても、それはないだろうー!だって女王様だし、ワガママだし、遊んでるし。俺の嫌いなタイプもろカブリじゃん!!
まぁ友達としてはいい感じに付き合ってるけど。ってか男だし。有り得ない有り得ない。

「俺が何?」

「あのーだから、そのぉー…お前がスゴーく疲れてるんじゃないかって…」

我ながら苦しい言い逃れだと思う。夏樹をなんとか誤魔化せたようで疑う様子もない。ホッとしたのもつかの間、今度は女王様から俺を完全に疑っているんじゃないかと思うような信じられない命令が下される。

「フーン。じゃあさ、キスしてよ。」


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あきゅろす。
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