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恋愛リアル
ヨン
温かいお湯で冷えたカラダを温めているとジンジンする。こんなふうに感じるまで冷やしていたとは思わなかった。
少しづつ体温がもどるのを感じるとなんだかホッとする。
おかしいな。さっきまでは『何も感じたくない』とか思ってたのに。自分の中の矛盾に苦笑する。
真夏でこんな冷えたんだからきっとかなりの時間が経っているんだろう。
勝手に俺のカラダに吐き出された精液もすっかり洗いながされているようだ。ナカに出されなかったのがせめてもの救いか。
もし、そうだったら自分で後処理をしなきゃならない。虚しいし、なにより気持ち悪い。それでも尻や腹に出されたモノや、舐められた時の唾液、触れられた痕跡が気持ち悪くて全身をくまなく洗った。



浴室を出ると、新しい下着と敬吾のTシャツとハーフパンツが用意されていた。

「っデカ!」

敬吾と俺ってこんなに身長差あったっけ?ハーフパンツなのに七分丈なんですけど。なんかちょっと悔しい。クソッ!敬吾のくせに!!

「おいっ!」

文句をつけるポイントが見つかり威勢よく脱衣所のドアを開け、洗濯機の前にいる敬吾を見て驚いた。

今洗濯しようと手にしているのは、さっきまで俺が着ていた汚れた制服。
ってか気がまわり過ぎじゃねぇ?お前高校生だろ?
さっきの保冷剤といい、新品の下着とか用意してあるし。はっきり言って、コイツ…うちの女どもより気が利く。

「洗濯するからゆっくりしてろよ。」

「あぁ…ありがとう。」

言えねぇー!!文句なんか言ったら罰が当たる。いくら俺でもこんなに良くされたら何も言えねぇよ。
すぐこの家から出ようという決心も何処へやら、さっきまで言えなかったお礼の言葉もすんなり言え、大人しく敬吾の言葉に従いリビングのソファーへ腰を下ろす。そこへまたもやタイミングを見計らったかのように、マグカップに注がれた温かいコーヒーが差し出される。

「ごめん、うちコレしかなくて。」

十分ですから!
至れり尽くせりな扱いに、柄にも無く思わず恐縮してしまう。そのまま黙って受け取ると、敬吾はなぜかホッとしたように優しく笑った。
それを認識すると、俺の鼓動は一気に跳ね上がり、急速に速さを増して高鳴り出す。そして、無理矢理押し込んでいた想いがポロポロと溢れ出て来るんだ。
もう、悪態をつく事も、敬吾の表情を伺う事も忘れ、ただ俯いて手渡されたカップの中を見つめていた。

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あきゅろす。
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