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恋愛リアル

−夏樹 Side−

いつもなら今頃駅前のクレープ屋で敬吾に『迎えが遅かった罰だ!』とか言って奢らせて、なんだかんだ楽しく過ごしてるはずだったのに。
適当に理由付けてはいるけど、本当は奢ってもらわなくったっていい。ただ一緒に居たかっただけなんだ。
敬吾と過ごす放課後は俺には今一番楽しい時間だった。
だから、放課後の誘いは全部断った。敬吾の忠告も聞いてなかったわけじゃない。俺もなんか最近そういう気分じゃなかったし。(毎日ヤッてはいたけど)
その結果これ。
ずっと断ってた先輩がブチ切れちゃって仲間と俺をレイプした。いくら俺でも全く平気なわけじゃない。無理やりだから身体にダメージ受けてるし、心にも。
けど、そんなに俺は弱くも無い。こんなことは今までだってあったし、復讐の仕方も学んだ。
結局は自業自得、俺が今まで好き勝手やってきて蒔いた種だし。
たださー。俺のとなりで俺以上に沈んだ顔してる奴がいるのがメンドクサイ。

「これで顔冷やせ。」

学校を出た後、ボロボロの状態で家に帰りいろいろ詮索されるのも面倒で、なぜか敬吾の家へ来てしまった。
ってかマジコイツてば金持ちのおぼっちゃまだったんだな!!連れてこられたのは超高級マンション。外観でも驚かされたが、中に入るとさらに驚かされる。一瞬ホテルかと目を疑った。
だってロビーに入るとフロントがあって、キッチリ黒スーツを着こなした品のあるオヤジがこんなガキ相手に『お帰りなさいませ、本田様。』って頭下げて挨拶するんだぜ。マジ焦った。
噂には聞いてたけどマジどんだけ金持ちなんだよ。
学校からは俺んちと反対の方向で敬吾の家の方が近いことを、毎日のように家まで送ってもらっていた俺は今日初めて知った。
俺の我がままに付き合い、わざわざ反対方向にも関わらず毎回送ってくれるコイツはバカが付くほど人が良すぎる。
きっとコイツは誰にだって優しいのだろう。

俺じゃない、他の奴にでも…。

敬吾は俺をリビングのソファーに座らせると、キッチンへ向かいタオルに保冷剤を包んで持ってきた。それを俺が受け取ると、無言で俺の向かい側のソファーに座り大きなため息を吐いた。


「なんか慣れてねぇ?」

「ああ、朔弥といるといろいろな。」

確かにあの悪魔になら敵多そうだし、今まで散々巻き込まれたとか?ありそうー!ってか予想通りでかなりウケんだけど!
バカみたいにケラケラと笑う俺に敬吾はまた大きなため息をついた。

「…いいから早く顔冷やせ。腫れひかねぇぞ!」

「ハイハイ!分かりました。つーか俺先にシャワー浴びたいんだけど。」

「そうだよな、悪い気付かなくて。風呂は廊下出て左側だ。タオルは置いてあるの使って、着替えは俺ので良いよな?後で持ってく。」

ふざけた態度とってんのにいつも以上に気を使われるのも、この部屋の雰囲気も、居心地が悪かった。
部屋の内装から備え付けの家具まで全てをモノトーンで統一されたこの部屋からは、いつもの敬吾みたいな明るく温かい色は何処にも見当たらず、冷たく重苦しい雰囲気が漂っていて今にも飲み込まれそうだ。
それに耐えかねて『ありがとう』の一言も言えず、逃げるようにそそくさと浴室へ向かった。


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あきゅろす。
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