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恋愛リアル
ナナ
敬吾との距離が縮まってから半月がたっても俺はあの時から何も変わってない。
もちろん、敬吾との関係も。それからあいつらの関係も。




なぜか服従させてやるとか、復讐とか、あまり考えなくなって…今はこの距離に満足してる。
本当にどうかしてる。ただ挨拶したり、話したりしてるだけなのに、アイツが笑うの見ると妙に嬉しくて安心するんだ。不機嫌にさせる事のほうが断然多いけど。それでもいつも笑ってるアイツ。
最初はそれにすげぇイラついてたはずなのに、今はそれが嬉しかったりする。こんなふうに感じてる自分も嫌じゃないなんて絶対にどうかしてる。



一体…俺はマジでどうしたんだ?




「夏樹?」

名前を呼ばれてハッと我にかえると、牛乳の紙パックに刺さるストローをくわえながら俺を不思議そうに見つめる大きな瞳とぶつかった。

「どうしたの?具合悪い?」

「わりぃ、ちょっとボーっとしてた。」

心配顔の柊に謝って食べかけのパンにかぶりつく。最近はこんな感じで飛んでることが多いからさすがに柊も心配してるよな。

「僕ね、夏樹には幸せになって欲しいの。」

突然そんなこと言われるもんだから危うくパンを喉に詰まらせそうになった。

「…なんだよ、急に。」

「だって、夏樹は僕の大事な友達だから。僕いつも助けてもらってるばっかりだし、だから僕も夏樹を助けたいんだ。」

素直に柊の気持ちが嬉しかった。友達と呼べる存在は柊しかいない。柊しか俺を受け止めて、理解してくれる奴はいなかった。それに、俺より何倍も辛い思いをしても絶対に折れなかったスゲー強い奴。俺も気持ちは同じ、柊には幸せになって欲しい。いつもそう思ってる。

「ありがと!」

だから今はくだらない俺の心配なんかより柊自身の幸せを考えて欲しいんだ。

「俺の事より、まずは自分だろ!最近アイツとどうなの?」

「どっどうって…。」

朔弥の話を持ち出すと途端に柊は顔が真っ赤になる。かわいいなー。俺がタチだったら今頃押し倒してんのにとかちょっと思う。こんなに分かりやすいなら相手は確実に柊の気持ち気付いてるだろうな。なんてったって相手はあの悪魔だし。それにあの可愛がり方を見れば相手の気持ちだって明らかだ。なのになんでさっさとくっつかないんだろう?

「柊が幸せになんなきゃ俺も幸せになれねぇよ。」

いつになく真剣な俺を見て、柊がかなり困った顔をした。

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あきゅろす。
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