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恋愛リアル
サン
なんかもう疲れたな。


イク時まで演技して、なんか満たされなくてどんどん渇いて…。いったいこの不満は誰が埋めてくれんだろう。いつもそいつを探してんのに結局空振りで。
こんなんだったらもう遊ぶのなんてめんどくせぇだけじゃん。

晃史のことがあってから俺の心の中は空っぽだ。っていうよりドロドロか。『何で俺じゃねぇんだ?』とか『俺の何が足らないんだ?』とか。考えんのもウザイから忘れるためにいろんな奴とヤっても、考えるのはいつも晃史の事。こんな自分に嫌気がさす。
けど、敬吾のことを考えてる時は忘れられる。復讐心でいっぱいだから。

廊下をゆっくりと歩き出してもなんだか身体に力が入らなくて、そのまま足が止まってしまう。窓から空を眺めると今にも降り出しそうな黒く分厚い雲が広がる。
傘なんて持ってきてねぇし、濡れて帰るの決定だな。なんかいちいち上手くいかねぇ。イライラしながらヘコむってどういうことだよ!わけ分かんねぇ。
その場に崩れる様にしゃがみ込んで壁に額を押し当てた。冷静さを取り戻すには丁度良い冷たさが心地良い。悠馬の肩よりよっぽど良いと思った。

「おい、大丈夫か?」

とことんついてねぇみたいだな。出来れば今一番会いたくない奴の声がした。仕方なく壁から額を離し、見上げるとやっぱりそいつで…。

「具合悪いの?」

いつも無視したり嫌な顔するくせに、何で今日に限って優しくすんだよ!

「…嫌ならほっとけば。」

「え?」

「俺の事嫌ならほっときゃいいじゃん!」

突然敬吾に向かって叫んで、気が付くとその場から逃げるように走り出す。自分でも何でこんなにイライラしてんのか分からなくて、もう分かんない事だらけで…。アイツが今どんなに驚いてるとか、そんなの考える余裕もない。とにかく走って、階段を駆け下りて、目の前に広がるのは玄関のガラス扉から見える土砂降りの校庭。もうどこにも逃げられない気がして俺は足を止めた。

逃げるっていったい何から?敬吾から…?それとも…自分から?もう嫌だ。嫌だ!こんなの俺じゃねぇ。もうなんなんだよ!どうしたら良いんだよ…。


ダレカ…タスケテ…。


「ちょっと待てって!」

グイッと腕を掴まれ、強制的に振り向かされるとめずらしく怒った顔の敬吾がいた。


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