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恋愛リアル

「何?急に笑って。」

「何でもねぇよ。」

事が終われば抱きしめ合うわけでもなく、余韻に浸るでもなく、そそくさと俺の身体から離れ後始末をしだす悠馬。どんな奴でもこうだけど今日は何か…空しい。
裸のままの俺は愛想なく返事をし、ついさっきまで埋められていた穴から流れ広がり出す白濁した体液をぼーと眺めていた。

「やあー。やっぱお前その辺の女より良いわ!」

そして終わった後どいつからも聞く言葉が耳に届く。ったく何でいちいち女と比べるんだ。俺は女じゃねぇ!たまにこの身体が嫌になる。
本当は分かってる…。俺とヤる時、みんな俺を女だと思ってヤってる事なんて。誰も俺を見てないって。逆にそれで良かった、楽だったから。俺もアイツの事考えて、晃史とヤってるつもりだったし。けど、もう…演技とかめんどくせぇ。

「それよりさっきの話。」

どんどん曇る気持ちを無理やり消し去る様に話をきり出した。

「ああ、敬吾ね。アイツの事聞いてどーすんの?」

「いいから早く言えよ。」

「はいはい。」

すっかり制服を着終えネクタイを締めながら悠馬が呆れた様に笑う。いちいち反応するのも馬鹿馬鹿しい。俺は何も言わずに後に続く言葉を待った。

「俺もそんなに親しい間柄じゃないから他の奴にも聞いてみたんだけど、敬吾ってイベント企画したり合コンセッティングしたりすんのは好きらしいけどいつも盛り上げ役で全然女っ気ねぇみたいよ。付き合ってた女は何人かいるみたいだけど。ああ見えてかなり真面目ちゃんだしね。アイツ見てると疲れんだよ、人間的につまんねえなって。俺らみたくもっと気楽に遊んじゃえばいいじゃんねー。」

なんだ、ただのヘタレじゃん。もっと特別な事があんのかと思ったけど案外余裕じゃん。
俺らみたく…か。敬吾から見たら俺はそう見えてんだな。だから俺を避けたりあからさまに嫌な顔したりすんだ。そんなのは俺だって分かってるけどなんか悠馬の話聞いて改めて感じた。
俺と敬吾は別次元の人間ってことに。あれ?何で俺ヘコんでんの?そんなの気にする事じゃねじゃん。どうせすぐ捨てるんだ。

「…帰る。」

そそくさと制服を着直すと悠馬の顔は見ずに、一言だけ言い残して足早にホコリ臭い空き教室から出た。



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