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キミのトナリ
会えない時間
―柊 side―

憂鬱なテストも終わり、いよいよ夏休み!
僕のテスト結果は良くも悪くもなく、何とか無事に補習を受けずに済んだ。
朔弥と本田くんは二人とも学年で10位以内の成績で、改めて凄さを確認してしまった。
本田くんが努力してるのは何となく分かってたから、そんなに驚かなかったけど、朔弥が勉強してるの見たことないから、『いつしてるの?』って思わず聞いたんだ。

そしたら…。

「別に。ってか授業聞いてりゃ出来んじゃん、普通。」

って答えが返って来た。
朔弥って本当に何でも出来るんだ!
僕なんて授業にすらついて行けてないのに。
朔弥も本田くんみたいに進学希望なのかな?
もし、そうだとしたら僕達はどうなっちゃうんだろう?
少し不安が過ぎったところで、考えるのをやめた。
とにかく、今は先の事より夏休みをどうするか考えなくちゃいけないんだ。
夏休みと言っても、予定は空白のまま。
バイトは学校で禁止されてるから無理だし、どこか行こうにも僕には行けるような所が思いつかない。
というか、ないって言った方が正しい…かな。
いつもなら夏樹が来てくれたり、一緒に出かけたりとかしてたけど、今年は無理そう。
夏樹は日頃のサボりのせいで補習決定なんだ。
テストは大丈夫だったみたいなんだけど、出席日数が響いたみたい。
最近まで気まずかった本田くんとも仲直り出来たみたいだから、邪魔しちゃ悪いし。
朔弥はお兄さんの仕事の手伝いがあるって言ってたから、忙しくてなかなか会えないのかな?
久しぶりの1人の時間を思うと少し寂しくなってしまった。
高校生になって、僕の世界がずいぶん変化したからなんだろう。
賑やかさにすっかり慣れてしまって、急に現実に戻された感じ。

「1人の方が楽だったのになぁ。」

リビングの床に寝転び、ぼんやりと白い天井を見つめていた。
朝いつも通りの時間に目が覚めて、軽く朝食を済ませてから部屋の掃除をした。
こんな感じでもう何日か過ごしていたから、あまり汚てないからすぐに終わってしまった。
やらなきゃいけない事はあるんだ。
授業について行ける様に勉強もしなくちゃいけないし、読みたい本もいっぱいある。
でも、なかなか行動を起こす気にならなくて、こうやって家に閉じこもってるんだ。

「買い物…行かなきゃ。」

1歩も外へ出ていないから冷蔵庫の中が空っぽだ。
僕だけだとあまり食べるきがしなくて、適当に食べてたけどあまりの食材のなさにそれも限界だ。
朔弥がいてくれるといっぱい食べてくれるから嬉しくていろいろ作るんだけど。

「会いたいなー。」

朔弥に会いたい。
メールと電話だけじゃ物足りなくて。
『僕を好きだ』って気持ちはちゃんとわかってるんだけど、それが確かじゃない感覚。
家にばっかいるからこんな事考えるんだよね。
とにかく外へ出よう!
せっかくの夏休みなんだし、無駄に過ごすのもったいないよね。
とりあえず借りたい本もあるから図書館でも行こうかな?
買い物はその帰りにして来よう。
モヤモヤした気持ちを紛らわすように、僕は何日かぶりに家から出た。

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あきゅろす。
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