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キミのトナリ
M
―柊 Side―

温かい何かに優しく包まれる感覚が気持ち良くて、ずっとこのまま眠っていたいと思った。
でも、それが何なのか確かめたくて手を伸ばしても、触れる感覚がない。
まだ眠っていたい気持ちを引きずりながら重たい瞼を開けると、見慣れた自分の部屋の天井で、普段と何も変わらないようにも思えた。
何だかさっきまで、ものすごくいい夢を見ていた気がする。

「…ん?」

ふいに寝返りをうとうと身体の向きを変えた時の感覚に違和感を感じた。
下半身にズキッと走る痛み。
あっ…そうか、僕…朔弥と…。
思い出した途端、下着以外何も身につけていないのに気付き、急に恥ずかしくなった。

「…さく…や?」

触れられた感触がまだ残っているのに、なぜか朔弥の姿だけがなくて、もしかしてさっきのは本当に夢だったんじゃないかと考え出した時、部屋のドアが開いた。

「起きた?」

「…うん。」

良かった…夢じゃない。
思わずすがる様に見つめた僕に、優しい笑顔とキスが降りてくる。

「具合どう?」

「平気だよ。」

「そっか、何か飲むか?」

「あっ!大丈夫。それくらい自分で…。」

立ち上がる朔弥を追いかけ身体を起こそうとした瞬間、下半身にさっきより鋭い痛みが走る。

「いっ!」

僕の様子に気付き、心配した様子で朔弥が僕を静かにベットへ戻してくれた。

「初めてだし、辛いよな。」

「そういうものなの?」

こういうの初めてな僕には分からない事だらけで、思わず口から出ちゃった疑問に朔弥が苦笑した。
確かに身体は辛いけど、でも辛いっていうより嬉しい気持ちでいっぱいで、あんなに不安だった気持ちがウソみたいにどこかへ行っちゃって…今まで生きてきた中で一番幸せだ!

「僕、すごく嬉しかったよ!」

「俺も!」

そしてまた、朔弥に優しく包まれ僕は今、世界中で一番なんじゃないかっていうぐらい幸せを感じていた。
今まで感じた事のない安心感と幸福感でいっぱいで、心が満たされる…そう感じたのも初めてだった。
全部朔弥が僕に与えてくれたモノ。
僕は朔弥に何を返してあげられるんだろう?
これから朔弥が望んでくれる事なら何だってしよう!
抱き締められた温かい胸の中で、一人静かに誓いをたてた。


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