キミのトナリ
L
「んうっ!…くっ…。」
解したとはいえ、痛みがないわけじゃないんだろう。その証拠に、繋いだ手と反対の手で掴まれた腕にも深く爪が食い込む。
苦痛の表情と額に浮かぶ玉状の汗と流れだす大粒の涙を見ても、どうしても止める事が出来ない。
これ以上我慢出来るか!俺はこの時を散々待ってたんだ。
俺を食いちぎりそうな程の締め付けが、簡単には奥への侵入をさせてくれそうにない。
少しでも早く苦痛が快感へ変わるように、柊のモノを扱きながら乳首を指で刺激した。
「柊、息吐いて。」
「…ふぁ…いっ…んあっ。」
「ゴメンな。あと少し!」
力が抜けた瞬間に繋がりを深めていき、そして全てを収めきった頃には二人とも汗だくで、もうどっちのものか分からないぐらいだった。
それさえも今は興奮する。
「お前の中…すげぇイイ。」
抱き締め合いながら呼吸が落ち着くのを待った。
自然と見つめ合い、ついばむように何度もキスをし、笑い合う。
体温や心音、肌の温もり、感触、頭の中は興奮状態なはずなのに、それとは逆で心の中は安心感で満たされ、柄にもなくめちゃくちゃ幸せだと思った。
「柊、すっげぇ好き!」
「僕も、朔弥が好き。大好きだよ!」
そう言って、ギュッとしがみついた柊の顔にはもう不安な表情はなく、幸せそうな笑顔を浮かべていた。
身体だけじゃなく、今まで以上に心まで深く繋がった…そう実感した。
「いや!…さくっ…やぁ…んんっ。」
いきなり動いたのが怖かったのか、それとも辛かったのか、喘ぎながら柊が俺を名前を呼ぶ。
キュウキュウと締め付けてくる柊の中は最高で、限界を感じながら腰を激しく打ち付け、真っ白な肌へ『俺だけのモノだ』という証をいくつも付けた。
「さくっ…イっちゃ…あああっ!!」
「…ッく!」
先に柊のモノが弾けるように欲を吐き出し、同時に起こる収縮に誘われ、俺も柊の中で果てた。
ヤベー!こんなにイイなんて思わなかった。
過去のセックスは全て排泄行為にしか過ぎないとさえ思える。
今までは気が付いたら上に女が跨ってて、行為の最中も『女って気持ち良さそうだなー。』と下からボーっと眺めてた。
柊とはそんな余裕すらなくて、マジでヤバかった!!
つーか何なんだこの色気は…。
当然1回じゃこの興奮は治まらないが、不思議と満足感はある。
「はぁ…ぁ…はぁ…。」
「…柊?」
微かに瞳を開き一瞬反応を見せるも、そのまま眠りに落ちた。
そういえば、コイツ体調悪かったんだ。
そもそもここには看病で来てんのに、逆に負担かけてどうするんだと自分に苦笑いして、柊から自分のモノを引き抜き手早く後処理をし、汚れた柊の身体を綺麗にしてから一緒にベットへ潜り込んだ。
「安心したかったのは俺の方だな。」
腕の中の安らかな寝顔が愛しくてたまらない。
小さな身体を抱き締め額に顔を寄せていると、昨日の寝不足を思い出したように睡魔に襲われ、温かな体温とこの上ない幸せを感じながら深い眠りへと落ちていった。
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