キミのトナリ C 「ごめんねー。こいつヒトミシリ激しいから」 まるでいつもの事という様にツンツン頭はヘラヘラ笑う。 あの黒オーラを纏っている朔弥に近付けるこの人って凄い。 「お前もウザイ。」 「嫌だわ!この人ったら。せっかくわざわざお迎えに来てあげたのに。」 「頼んでねーよ。」 「あら。頼まれてないわよ」 何?このお姉さんキャラ。目の前で繰り広げられる光景を僕はポカーンと見つめていた。 朔弥は「チッ」と舌打ちをしながら椅子から立ち上がる。 ―ポン。 何だろう…。 今頭に何かが乗った気が…。 伸びたものを目でたどって行くと、それは…朔弥の手だった。 分かった途端、僕の心臓の音がみんなに聞こえるぐらいに高鳴り出す。 身体が一気に熱くなり、自分でも顔が真っ赤になるのが分かる。 駄目だ…。沸騰しそう。 「じゃあな。」 一瞬ふわっと僕に笑うと、朔弥は足早に教室を出ていった。 「おい。待てって!あっ俺2組の本田 敬吾。みんなよろしくね!」 ツンツン頭もしっかり自己紹介して朔弥の後を追う。 僕にはその声が全く届いていなかった。 [前へ][次へ] [戻る] |