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キミのトナリ
C
生暖かい空気と湿気が全身にまとわり着いて、更に不快指数を上げる。
部屋の照明さえ鬱陶しくて、ベッドから起き上がり明かりを落とす。
まだ雨は降り続いている。
真っ暗な部屋に響く水音が、柊が隣にいない現実をうるさいくらいに強調してきて、余計寂しさが募っていく。
こんな風に寂しい夜を柊はずっと独りで何年も過ごしていたのか?
もしかしたら、今も…。
そう考えるだけで切なくて堪らない。


夜9時を回ったが、未だ俺の携帯は鳴らない。
床に腰を下ろしてベッドにもたれかかり、ぐちゃぐちゃした気持ちを落ち着かせたくて、深く息を吐き、目を閉じる。




俺に出来ること。



したい事、してやりたい事なら山程思いつく。
けど、それが本当に柊のためになる事なのか…正直分からなくなってきた。
それって結局、俺を欲を満たしてるだけってことになるんだろうとか。
俺の前では笑ってるけど、本当はそれも無理させているんじゃないかとか。
実際、いつも泣かせてるし。
普段の俺らしくない、マイナス思考にどんどん傾いて、そのうち抜け出せなくなるんじゃないかと不安になった。



少し冷静さを取り戻しかけた頃、急に雨音が大きく激しく聞こえた気がして、ふと目線を上げると、土砂降りの中佇む柊の姿がすぐ目の前に見える。

『さくや…』

泣きそうな、それとももう泣いているのか、悲しげな表情をして小さな声で俺を呼んだ。
すぐに抱きしめてやりたくて手を伸ばそうとした時、ハッと目が覚めた。



なんだ、今の…。



心臓が痛いほどバクバクして、息苦しい。
胸が押しつぶされそうな感覚に必死に呼吸をして抗い、何とか落ち着きを取り戻す。
もう嫌な予感しかしない。
今の…夢だったのか?
それとも、柊が呼んでるのか?
居ても立っても居られなくて、部屋から出ようとした時、やっと携帯が鳴る。
慌てて確認すると、それは待っていた柊からじゃなく、非常時にと夏休み前に連絡先を交換した相手からだった。

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