キミのトナリ C 勇気を振り絞り、いざ言葉を発しようと口を開くと、極度の緊張で喉までカラカラに乾いて声が掠れる。 頼りない微かな声は車両の走行音にあっさりとかき消され、朔弥には届かなかった。 折れかかった気持ちを何とか立て直して、もう一度というところで、駅への到着を知らせる車内アナウンスに阻まれ、またしても失敗。 どうしようもなく気持ちばかり焦って、半ばパニック状態のまま停車した電車を降り、朔弥に手を引かれるまま歩きだす。 歩みが進むにつれ、自分の不甲斐なさで益々気持ちが重くのし掛かって来て、それに耐えられなくなった僕は、とうとう歩くことさえも出来なくなり、その場で泣き崩れてしまった。 「ごめん…。僕、何で朔弥が怒ってるのか分かってなくて…でも、ちゃんと言ってくれないと分からないから…ちゃんと直すから、だから…嫌いにならないで!」 朔弥に嫌われるのが何よりも怖くて、必死に叫んだ。 朔弥がいなくなったら…きっと僕の世界は終わってしまうだろう。 だから、すがるように懇願した。 [前へ][次へ] [戻る] |