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キミのトナリ
嫉妬
―朔弥 side―

ハルさんに怒られるだらしない兄貴を見物出来て、それなりに満足したし、何よりも柊と二人で祭りに行くことの方が、魅力的だったからだ。
付き合いだして、学校帰りに寄り道したり、お互いの家で過ごすことに不満はなかったが、こうやって一緒に出かけるとなるとめちゃくちゃテンションが上がる。
柊と一緒に楽しみたい。
ただ純粋にそう思ってここへ来たのに、…。

コレは何だ!?



「ねぇ朔弥♪こんなチビちゃんとバイバイして、私と遊ぼうよぉ!」


つーか、お前誰だ?

連れの男を見て、何となく思い出す。
確か、この女に勝手にキスされたところを柊に目撃されたんだった。
俺らの1コ上だというのは何となく記憶にある程度で、そんな出来事があった相手でも名前すら全く覚えてない。
俺にとっては、本当にどうでもいい存在だ。
甦る記憶と共に、あの時の柊の不安がっていた様子を思い出して慌てて視線を向けると、予想に反して女の連れの男と親しげに話始めるし。

「やあ、君たちも来てたの?」

「はい、あの…先輩は?」

「僕はこの子の付き添い。僕達家が隣で幼なじみなんだよ。」

いつの間に知り合いになったんだ?
ずっと一緒にいたはずなのに、全く知らなかったことに軽くイラッとする。
今は柊の全てを知っているとデカイ気になっていたからだ。

「君たち本当に仲がいいんだね。」

わざとらしくそうセンパイが言いながら、俺に向けた視線は鋭い。
他にも何か言いたげな、意味を含むそれは、一瞬向けられただけだったが、俺に文句があることは十分伝わって来た。


「離れろ。」

俺の気持ちを無視して、ベタベタとまとわりついてくる名前も知らない馬鹿女にも言ったが、視線は男からそらさない。

「やめなよ。」

「ヤダー!!朔弥は私のだもん。」


うるせー!!俺は柊のだ!!
いい加減我慢も限界に達して、思い切り腕を振り払い、逃れた腕を細い柊の手へ伸ばして力強く掴んで楽しむはずの立ち並ぶ屋台の列から背を向けた。


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あきゅろす。
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