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駄文
同属嫌悪な男達 - 05


「客かなんか知らんが、付き合って9年の俺と隼人の仲を裂こうたぁ100年早い。」
「9…へっ、愛は年数じゃねぇ、密度だ。俺は毎日のように通って愛を育んでんの。その俺が知らねぇあんたなんか、敵じゃないね。」
「ちっ、ここんとこ忙しくて来たくても来れんかったんじゃい。けど、連絡は途切れさせなかったかんな。おかげで久々に会ってもスムーズな掛け合いは健在や。その点お前はなんや。毎日通ってるくせにシゲルなんて名前、一度も話題に出てこんかったぞ。このモグリが。」
「チカなんて名前も聞いたことっ……ん?あ、セクハラ大魔神だの究極のヘタレだの言われてたのって、あんたか!ぷぷぷ、だっせぇ!付き合い長くても論外じゃん!」
「お前に言われたないわ!それは気の置けない仲だからこそのアレや。愛のこもった『バカ』ってのと同じや。多少ツンデレ要素含んでんねん、隼人の愛は。」

ギャンギャン ギャンギャン
そろそろ離してくんねぇかな、と溜め息を零しつつ、隼人は二人のやり取りを眺める。
(二人ともいつもへらへらしてるのに、珍しいな。てか、前から思ってたけどこいつらって…)

「似た者同士、ですね。」

いつの間にかカウンターに腰掛け、様子を見ていた雅也が、隼人の思考を引き継ぐ形でぼそっと呟く。

「あ、やっぱ雅也もそう思うか?なんか、かぶるんだよなー。」
「「どこが!!」」
「敢えて言うなら、吊り目と行動。」

がーんっとショックを受ける様子も瓜二つである。

「冗談きついよ隼人さん。俺、こんな変な口調のひょろい金髪とは一緒にされたくない。」
「俺かてこんな、チャラチャラしたド派手なオレンジデブ、1ミクロンもかぶりたないわ。どうせこいつ、店に押し掛けるだけの客の一人やろ。」
「はっ!一介の客レベルなら、あーんとかしてもらえるわけねぇだろ。てかデブって…あんたが貧相なだけだ、そりゃ。」
「あ、あーんやと!?…ふっ、甘いわ。俺なんか膝枕やぞ。どーよ、されたことないやろ〜?って、貧相言うな、スレンダーと言え。」
「くっ、隼人さんの膝枕…されてみてぇっ。だ、だけど、俺だって隼人さんと寝たことあるもーん。」
「寝っ……ふん、どーせ同じ部屋で雑魚寝しただけやろ。そんなん俺かて何十回とあるわ。だがしかし!お前、隼人と一緒に風呂入ったことあるか?」
「一緒に…風呂、だと…!なんて美味しいシチュエーション…っ、くそ、想像したら鼻血が。」

トントンと首の後ろを叩き上向く滋と、あ、思い出したら俺も、と前屈みになる千影。
話題の本人は、いまだ腕を掴まれたまま暇そうにあくびをしている。どうやら話を聞いている様子はない。



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あきゅろす。
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