Secretiveness 2 「それと……」 「まだ何かあるのか……もう小言は十分だろ?」 「いいえ、一番大切な事ですっ!」 「はぁ…っ、何?」 「坊ちゃまはぼんやりされる事が多いのですから……。 急に愛想良く近づいてくる者は、坊ちゃまを利用しようとする悪者だと思って警戒してくださいね?」 「なんでそんな奴らがいるとこに、わざわざ行かないといけないんだよ?」 「久我家男子として立派に成長するためです。 世間を知らずして人の上に立つことは出来ませんから」 人の上なんて立つ気はないよ……なんて本音を言えば、更に小言が10倍になって返ってくるだろう。 あぁ、もう面倒くさい。 聞いてるフリしてこの場はやり過ごそう。 どうせ俺は本家の嫡男に生まれたとは言っても、誰からも期待されてはいない。 家族からは腑抜けだとか、意気地なしと言った形容詞しか貰ったことはなかった。 素晴らしく出来の良い従兄弟が、姉の婚約者だからな? きっと家はそいつが継ぐことになるんだろう……。 もうどうでもいい。 折角6年間好きなことをして良いって言われてるんだから……。 学生時代は何か本気で打ち込めるモノを見つけよう。 そして、その先は──。 ……俺はそれ以上考えるのをやめた。 [*前へ] [戻る] |