Secretiveness
Secretiveness
俺のルームメイトは、最近雰囲気が変わったと噂されている。
それを口の悪いクラスメイトは、中学生デビューやなぁ?と笑っていたけれど。
一番近くに居た俺の目から見ても、そう言われてもおかしくないぐらいの劇的な変化だったのだ。
***
昼食後はぼんやりと一人で過ごすのが、最近の日課で。
元々他人とは距離を置いていた俺だから、この状況は自ら招いた結果だと言えるだろう。
そんな俺の唯一の友人と言っていいルームメイトの久我は、少し離れた場所でクラスメイト達に囲まれていた。
今までほとんど言葉を交わした事もなかった奴ら相手に、傍から見ても困惑しているのが伝わってくる。
それでもそこそこマシな返答ができる様になったあたり、幾分かこの状況にもなれて来たのだろう、と推測する。
ほんの少し前までは、俺と久我はオタクコンビと呼ばれていて。
普段は気弱でかなりボケてて優柔不断な久我の事を、ウドの大木と言って馬鹿にする奴らも多かったと言うのに。
「眼鏡ひとつないだけでここまで変わるのは、ある意味奇跡だよねぇ……?」
「うわっ!!急に話しかけるな、びっくりするだろうがっ?」
突然背後から聞こえた声に、驚いて振り返ると。
そこにはクラス委員長の金子が意味深な笑みを浮べて佇んでいた。
コイツも何故か好き好んで関わってくる奇特な奴の一人で。
俺が教室で孤立せずになんとか無難に過ごす事ができるのは、金子のお陰と言っても過言ではなかった。
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