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Secretiveness
6


 寮長と呼ばれた奴は、一見してまじめで人当たりの良さそうなタイプだった。

 思い返してみれば入寮時の受付で、忙しそうにしてたのを見かけた様な気がする。

 やっぱりこういう役職になる奴ってのは、面倒見が良くて人望に厚い奴が選ばれるんだろうなぁ……?


 目の前で寮長と副寮長が会話しているのを他人事の様に聞きながら、そんな事を考えていると。

 ふと視線を感じて目をやると、寮長の後ろに背の高い眼鏡の奴がぼーっと立っていた。


 デカイな……こいつも3年か??

 170cmはゆうに超えて居そうなそいつは、寮長や副寮長をいった職に就けそうなタイプではなくて。

 むしろぼんやりしすぎて重要なポストを任せても周囲に迷惑をかけそうな。

 俗に言う独活(うど)の大木って奴だよなぁ?

 頭の中で一人、初見の人間に対して多少辛らつな事を考えていると。


「藤原君よかったね?お待ち兼ねのルームメイトが見つかったよー!」


 副寮長が急に笑顔で振り返って、そう告げた。


 いやいや、待ってねーよ、もう。

 俺の頭の中じゃ、もうそいつは来ない事になってたんだよっ!

 ……などとは思っていても口に出来ないので、俺は返事代わりに小さく頷く。


 それを目にした寮長が俺にもわかるようにと、親切にも状況を説明してくれる。


「なんでも校内で道に迷ったらしくて。親切な奴が案内した先が……」

「高等部の寮だったんだってー?」


 そんな事もあるんだねぇ?と言ってニコニコする副寮長。

 寮長はと言えば途中で台詞を取られたからか、憮然と黙り込んでいた。


 たまにいるよなぁ?人が話そうとした事をこうやって横取りする奴。

 大概そういうタイプは悪気はないから余計に性質が悪い。

 きっとこの二人の関係も、普段からそんな感じなんだろうと簡単に推察できる。


「……その方はこちらの寮に移動中なんですか?」


 いい加減長くなりそうな話にケリをつけようと、寮長に問い掛けると。


「いやだから、こいつがそうだよ?」


 寮長はそう言って、ずっと無言で佇んでいたデカイ奴を指差した。



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あきゅろす。
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