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その他小説
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 正直その仕草は芝居がかっていて、うそ臭いと思いつつも。

 お客様で尚且つご老人を突き放す事が出来なかった僕は、1つの提案をする。


「あーー、それじゃ、僕も作ってみましょうか?
 クリスマスなんかは小学校の頃から手伝ってますし、独創的な姉の様に立派なものじゃないかもしれませんが……」


 お代は結構ですよ?と言って、にっこり微笑むと。


「ほ、本当ですか!?それは坊ちゃんもきっと喜ぶと思いますーーー!!!」


 興奮状態の高城家の婆やに、腕がもげそうなぐらいぶんぶんと握手されたのだった。



 そうして──。

 1時間後に高城家にお届けすると約束した僕は。

 初めて1人でケーキを土台から作成した。


 スポンジの焼き方は、前から教わっていて。

 飾りのフルーツなんかも、仕入れ先は一緒だから問題ない。


 問題は生クリームで。

 父のそれは甘過ぎず、且つ、くど過ぎず。

 絶妙な舌触りの滑らかさで定評があったのだ。


 スポンジを焼いている間、僕は必死で生クリームを作成する。

 4,5回試行錯誤した挙句、完全ではないが父のモノに限りなく近いものが出来て、僕は満足した。


 飾りつけも手伝った事があるから……。

 その後は大きな問題もなく、僕お手製のケーキは完成したのだった。



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あきゅろす。
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